文化 〔特集〕探検・体験・再発見 加茂遺跡(国指定史跡)(2)

■過去から今、そして未来へバトンをつなぐ
福永伸哉 Fukunaga Shinya
市在住。大阪大学大学院人文学研究科特任教授。日本学術会議会員、文化庁文化審議会文化財分科会専門委員などを歴任。市文化財審議委員を務める。

◇貴重で重要な遺跡
加茂遺跡は、平成12年に国の史跡に指定され、弥生時代の大集落としての価値の高さが国から認められています。全国には、約1800件の国史跡がありますが、その中でも弥生時代の集落遺跡は、わずか40件ほどしかありません。約40件のうち、県内には7件あり、その一つが加茂遺跡です。国指定史跡とは、日本が続く限り重要な遺跡として残していくという制度です。加茂遺跡は日本にとって非常に貴重な文化財なのです。同時に、地域の歴史や文化にとっても誇るべき存在で、川西市の第一歩目となる集落と言えるかもしれません。
加茂遺跡は、地域の人々の長年にわたる尽力によってその姿が少しずつ明らかになってきました。発掘や調査研究を通じて得られた成果は、考古学の学術的な発展にも大きく貢献しており、加茂遺跡は過去を次の世代へと伝える重要な役割を担っています。
また、こうした遺跡の価値は、地域にとってもかけがえのないものであり、愛着を持って守られてきました。ただの歴史スポットにとどまらず、思いが詰まった「生きた文化財」として大切にされていると思っています。

◇遺跡を知り守っていく
加茂遺跡には、100年に及ぶ調査研究の歴史があります。中でも、宮川石器館には考古学史上有名な学者が多数訪れています。90年前の開館時の状態が今も保たれており、非常に重要な文化遺産です。
他にも、文化財資料館など、市の歴史を学ぶ環境が整っているので、加茂遺跡を学び、知ることで皆さんに遺跡を守っていこうという気持ちが芽生えるとうれしいですね。

◇人と人とのつながりを感じてほしい
遺跡には、昔の人たちが暮らしてきた歴史があり、今があります。まさに歴史が「バトン」のように過去から今へ、そして未来へと続いています。遺跡を通じて、人と人とのつながりや、時間や空間を超えた絆を感じてほしいです。
決して人は孤独ではなく、自分が長い歴史の一部にいて、未来に向けて何かをつないでいく存在だということを加茂遺跡の現地に立って感じてほしいと思います。

■市内の遺跡や歴史について調べ、学び、体験できる場所やイベントを紹介
◆体験できる
◇夏休み勾玉(まがたま)ウィーク
日時:8月2日(土)~11日(祝)
・午後1時―2時半
・午後2時半―4時
場所:文化財資料館
勾玉作りと、栄根銅鐸のペーパークラフト作りを、期間中毎日開催(4日(月)は休館)。
費用:勾玉づくり50円
定員:各10人
申し込み:希望日の午前9時半から電話で同館【電話】072-757-8624へ(先着順)

◇夏休み勾玉づくり教室
日時:8月19日(火) 午前10時―正午
場所:郷土館
昔の宝物「勾玉」を作ってみよう。
対象:小学生(3年生以下は保護者同伴)
講師:市職員
費用:50円(同伴者は団体割引の入館料が必要)
定員:12人
その他:下足袋持参
申し込み:8月1日(金)午前10時から電話で同館【電話】072-794-3354へ(先着順)

◆調べる
(1)宮川石器館
(個人宅のため必ず予約を)
【電話】072-759-9077
開館時間:月~金曜日
ところ:加茂2-10-24

(2)文化財資料館
【電話】072-757-8624
開館時間:火~日曜日の午前9時半―午後5時
ところ:南花屋敷2-13-10

◆学べる
◇文化財講座「九頭伝説考」
日時:9月6日(土) 午後1時半―4時
場所:キセラかわにしプラザ2階
巳年の今年、蛇にまつわる伝説を通して市の歴史にふれる講演会を開催。
講師:元市教育委員会文化財専門職員の岡野慶隆さん
定員:100人
申し込み:当日会場へ(先着順)

秋のイベントも準備中!!

問い合わせ:生涯学習課
【電話】072-740-1244

■私たちの足元にはロマンが眠っている
市長 越田謙治郎
「加茂遺跡」は、弥生時代の歴史を刻む貴重な文化遺産です。加茂地区や南花屋敷地区では、なんと30センチメートルほど土を掘ると、土器などの遺物に出会える可能性があります。
市では、遺跡を未来へ受け継ぐため、平成28年3月に「史跡加茂遺跡保存活用計画」を策定しました。この計画では、弥生時代に最も重要な場所であったとされる鴨神社周辺を中心に、約9.4ヘクタールの地域を史跡保存計画区域として定めています。この史跡保存計画区域を段階的に公有化することで、将来的にも遺跡の保存を実現したいと考えています。
しかし、この計画で直面している課題が、区域内にはすでに個人所有の土地が多く含まれていることです。家屋が建っている場合もあるため、土地を公有化するには関係者の皆さまのご理解と協力が必要です。そして、全面的な公有化には莫大な費用がかかる上、国の補助金にも限りがあるため、計画を速やかに進めることは難しいのが現状です。
関係者の皆さまのご理解をいただき、令和7年度には9件の協力が得られる予定ですが、現在の公有化率は区域全体の2割程度に留まっています。それでも私たちは、一度失われると取り戻すことのできない貴重な歴史を次世代へ確実に引き継ぎ、未来へその価値を伝えるために、着実に取り組みを進めていきます。
皆さまの温かいご理解とご支援を心よりお願い申し上げます。

問い合わせ:生涯学習課
【電話】072-740-1244