くらし 〔特集〕訪問型支えあい活動支援事業 寄り添う心が地域をつなぐ(1)

高齢化が進みニーズが増える一方で、医療や介護において担い手不足が課題です。この特集では、地域全体で高齢者を支える必要性について考えていきます。

明峰地区では、令和5年からボランティア団体「たのみ隊」が車による外出支援を実施しています。
外出支援を利用している首藤さんと、同地区で首藤さんを日頃から支える小林さん、たのみ隊で運転手を務める四ツ辻さんに話を伺いました。

首藤さん:通院のため、3年前から車による外出支援を利用しています。以前は、バスで通院していましたが、自宅から最寄りのバス停までが上り坂だったので本当に大変でした。そんな時、小林さんから外出支援について教えてもらいました。

小林さん:首藤さんとは近所に住む古くからの知人で、通院するのが大変だと相談を受けていました。たのみ隊が新たな試みとして、移動で困っている人をサポートすると聞いたので、首藤さんに伝えようと思いました。

首藤さん:私も高齢になり足のふらつきが出るようになりました。だからこそ、四ツ辻さんをはじめ、知っている人が車で送り迎えをしてくれるのは安心です。

四ツ辻さん:昨年10月から、たのみ隊の運転手として隙間時間を使いながら活動しています。母の通院で定期的に車で送迎したことはありましたが、運転手として働いたことはなかったんです。だから、私にできるのかなという不安がありました。

小林さん:たのみ隊の熱い思いに心を動かされたんですね。

四ツ辻さん:その通りです。たのみ隊の皆さんが精力的に活動する姿を見て、私も何か地域の役に立つことができるのではないかと感じました。母の送迎の延長線上だと考えるとそこまでプレッシャーを感じずに、やってみようと思いました。

首藤さん:四ツさんは運転中のスピードやブレーキなどいつも気を付けてくれて安心しています。四ツ辻さんのように気の利く人がこれからも増えるとうれしいです。

四ツ辻さん:外出支援のニーズは増えています。しかし、このままでは担いきれなくなります。今後も利用者が増えるのであれば、外出支援の必要な人が必要なタイミングでサポートを受けられる体制を作ることが不可欠です。たのみ隊のメンバーは高齢者が多いです。活動を継続するためにも、担い手の確保など、地域の実情に合わせて住民みんなが『自分事』として考えて進めていくことが大切だと思います。

■令和7年度から外出支援の補助を拡充 「訪問型支えあい活動」ってなに?
訪問型支えあい活動では、買い物や庭木の手入れ・通院など日常生活での困りごとに対して、住民が主体となって手助けをしています。活動を通じて、住民間のつながりを深め、地域活動と市などの関係機関がつながることで、誰もが暮らしやすい地域をつくることをめざしています。
令和6年から、高齢者などの自立した生活環境の維持、活動者自らの介護予防を推進すること、住民主体による自助・互助の充実を図ることを目的に、同活動を行う団体に対して、必要経費の一部を市が補助。
7年度からは、ニーズが多かった買い物や通院などの車両での移動をサポートする「外出支援」の補助を拡充しています。詳しくは市ホームページへ。

■INTERVIEW
各地域では、住民が主体となって日常生活に困っている人たちをサポートしてます。
日々の活動で取り組んでいることや地域への思いなどについて話していただきました。

◇東谷
東谷コミュニティ協議会 福田弘彦さん
現在、草刈りや家事援助などを行っています。10月から、車で送迎する東谷コミュニティ支えあい交通「乗りっこ」を新たに開始します。おとなも中・高生も一緒に話し合い、アンケート結果に基づいて実施する地域を決めました。
病院や買い物に行きたいが移動手段がないと困っている皆さんにぜひ利用してほしいと思います。

◇大和
だいわチケット実行会 八田勇さん
大和地区では、草刈りや家事援助、買い物支援など日常生活の困りごとのサポートを受けるために使用する地域通貨「だいわチケット」があります。地域の皆さんに支えられ20年が経ちました。
新たな試みとして、皆さんの声を聞き、地域の実情に合わせた外出支援などの実施を検討しています。

◇多田グリーンハイツ
多田グリーンハイツ自治会 難波康晃さん
多田グリーンハイツでは、バス路線から遠く、坂道が多い地域に住んでいる高齢者が多くいます。移動に困っている高齢者をスーパーまで送迎する「お出かけ支援」を11年前から実施しています。
お出かけ支援の他に、屋内掃除などの家事援助や家具の移動、ごみ出し、草抜きなど生活支援も行っています。

◇多田
ボランティアあい 鈴木光義さん
多田地域では、ボランティアあいが12月の活動開始に向けて準備を進めています。
高齢者や障がい者への家事や掃除など身の回りの支援や、買い物、通院などの外出支援を予定しています。また、子育て世帯への支援に力を入れていき、世代に関わらず誰にとっても温かい地域をめざしていきます。

◇けやき坂
たすけ愛けやき 行武為久子さん
高齢者が増えていく現状に、お互いに助け合い、いつまでも住み続けられる地域づくりをめざしています。
今までの「お一人お一人に寄り添うことを大切にしてきた生活支援の活動」を礎に、使って良かったと笑顔が広がる外出支援サービスがゆるやかに定着しつつあります。

問い合わせ:市社会福祉協議会
【電話】072-759-5200