- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県太子町
- 広報紙名 : 広報たいし 2025年4月号
◆息子のつぶやき
先日、ニュースを見ていた小学生の息子が、「多様性を認めようとしないのはあかんよなあ」と、つぶやきました。いつまでも幼いと思っていた息子の成長をうれしく思いつつ、「例えば、どんなことに対してそう思うの」と聞いてみました。すると、障がいのある人や日本に住む外国人の人権などについて、息子なりの思いを話してくれました。中でも驚いたのは、性的マイノリティについて正しい知識をもっていたことでした。冒頭の言葉は、性の多様性を受け入れた上で発した一言だったようです。私はさまざまな人権課題について指導してくださっている学校の先生方に感謝の気持ちでいっぱいになりました。
世の中には、たくさんの「無意識の偏見」が存在します。そして、それらが多様性と包摂性のある社会の実現を阻む一因となっています。例えば、絵本の定番キャラクターとして登場する「オオカミ」を想像してみてください。「3匹のこぶた」や「あかずきん」などに悪役として登場することから、一般的には悪いイメージをもつ人が多いのではないでしょうか。しかし、古代日本におけるオオカミは、神の遣いや聖獣として崇められていましたし、近年の研究では、互いに非常に協力的な上、強い社会的絆を構築することが分かってきています。このように正しい知識を得ることは、「オオカミ=悪者」といった「無意識の偏見」を拭うことにつながります。そして、社会にはまだまだ多くの「〇〇=◇◇」という決めつけや偏見が存在します。
私のような、生まれて何十年も「無意識の偏見」にさらされながら、それが「当たり前」として育ってきた人間にとっては、日頃から意識しておかないと、新たな知識に触れようとしないし、学んだとしてもなかなか自分の中にこびりついた偏見を拭い切れないことがあるように感じます。
しかし、今を生きる子どもたちは、偏見をもつことなく学びを深めています。その一端が垣間見えた息子の一言であり、子どもに偏見を植え付けるような大人社会であってはいけないと再認識させられた一言でした。
問合せ:社会教育課