文化 歴史と未来の架橋24

■コウノトリ(その2)
広報1月号で紹介したコウノトリについての続報です。
「上郡町でコウノトリを育む会」によって中野に建設された人工巣塔ですが、コウノトリにはあまり見向きもされず、令和7年2月に入るとまたしても電柱上で営巣を開始しました。
佐用谷の電柱上に造り始めた巣は、一度は撤去したものの、再度同じ電柱上で営巣を継続していたため、2月27日に関西電力送配電株式会社の協力を得て、巣材を撤去した後、中野の人工巣塔上に巣材を移設しました。
移設の途中、コウノトリのペアは上空をゆっくりと旋回しながら、人工巣塔に巣材が移されるのを見守っていたように見えました。
巣材を移設した後も、しばらくはコウノトリのペアは電柱上で営巣を繰り返し、人工巣塔から電柱に巣材を持っていくような行動もみられました。
ところが、3月半ばころから人工巣塔に居つくようになり、ペアのどちらかが巣上で座り続けていたことから、このころに産卵し、抱卵していると考えられました。
そして「上郡町でコウノトリを育む会」の協力を得て、映像撮影用のカメラを設置し、親鳥の行動を確認していたところ、4月19日に親鳥がエサを吐き出してヒナに与える吐き出し行為が確認されたことから、西播磨地域で初めてコウノトリの産卵・孵化が確定となりました。
その後、孵化したヒナは3羽であることが判明し、現在、3羽ともすくすくと成長しています。
6月1日には、兵庫県立コウノトリの郷公園の研究員が、ヒナ3羽に個体識別のための脚環を装着し、採血、羽毛サンプルを採取して雌雄判定を行いました。
6月中旬に性別が判明し、「上郡町でコウノトリを育む会」が名称応募数230点の中より名前を選出。右のとおり命名しました。

■名前(性別・個体番号)
・みね(メス・J0884)
・こう(オス・J0885)
・ふく(メス・J0886)

誕生したヒナたちは、7月上旬ごろに巣立ちを迎えると考えられています。
それまでは、人工巣塔には近づかずに、150mほど離れた場所から静かに温かく見守ってください。