- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県佐用町
- 広報紙名 : 広報さよう 令和7年7月号
◆地元で見つけた居場所と夢
カンカンカンカン-事務所の外から、工場の作業音がかすかに聞こえてきます。鉄と機械が奏でる音はどこか規則的で、静かな室内には、キーボードを打つ音が心地よく響きます。その事務所で働いているのが、「(株)横山基礎工事」に入社して3年目の武田翔(つばさ)さんです。
佐用高校では白球を追いかける野球漬けの日々を過ごし、「外の世界を知りたい」と大阪の大学へ進学しました。興味は海外にも広がっていましたが、コロナ禍で思い描いた大学生活は叶いませんでした。そんな中、夏休みに帰省して佐用でアルバイトを重ねるうちに、「自分には静かな田舎が合っている」と感じるようになりました。
就職先に悩んでいた武田さんに転機をくれたのは、大学の事務職員でした。卒業単位の不足に気づいて声をかけ、丁寧に支えてくれたその姿に、「自分も誰かの役に立つ事務の仕事がしたい」と思うようになりました。
就職活動中、ふと思い出したのはいつも見ていた大きな工場。「何を作っているんだろう」と思っていた場所が横山基礎工事でした。祖父から「世界でここにしかない機械がある会社なんやぞ」と聞き、見慣れた風景の中にある誇らしい企業の存在を知って志望を決めました。
現在は久崎工場で機材の管理を担当しています。パソコンが苦手で不安もありましたが、先輩の温かい指導や、現場の人たちとのやりとりに支えられ、「ここで働き続けたい」と思える日々を送っています。
地元に戻った今、「平福」への愛着もいっそう深まりました。もともと秋祭りには進んで参加していましたが、歴史ある土地に暮らしていると改めて気づき、「平福のことをもっと知りたい」と感じるようになったそうです。
目標は『平福で家を建てること』。武田さんの地元への思いを込めた挑戦は、まだ静かに、確かに、始まったばかりです。