- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県新温泉町
- 広報紙名 : 広報しんおんせん 令和7年4月号 vol.234
■フモトシハイスミレ(スミレ科)
新温泉町に自生するスミレ20種のうち、上山高原で確認されているのは10種。当地のみで確認されているのは5種です。中には未(いま)だに名前が確定できないものが1種あります。フモトシハイスミレ(麓紫背菫)です。名前が示しているように、フモトスミレとシハイスミレの交雑種と思われますが、10年ほど前に記録写真と標本を採り「人と自然の博物館」に送って名前の問い合わせをしておりましたところ、博物館の標本を調べているうちに興味深いスミレがあったので…とのコメント付きで、スミレ愛好家の方から現地へ案内してほしいとの依頼がありました。それがフモトシハイスミレとの最初の関わりでした。
現地へ案内しましたが、花期が終わっていたのかその時は確認できませんでしたが、写真から推察してほぼ間違いなかろうということで現在に至っています。その後上山へ足を運ぶ度に周辺を探したのですが見つけられませんでした。最近ネット検索をするとフモトシハイスミレの画像がヒットするようになり、全国的に多種の変種があることを知りました。
上山高原のフモトシハイスミレは、ほとんど白かうす紅白色です。本種は無茎種なので花や葉の柄(え)は根元から出て7~10cm、柄は紫色、葉身は分厚く表面は光沢のある緑色で葉脈に添って白い班が入っています。葉身は長さ2~3cm、幅0.6~2.5cmで葉の基部は深くえぐれています。裏面は紫色で葉先は丸く尖り、葉の周囲は浅い鋸歯縁となり、多くの白い長毛が生えています。花は上弁2、側弁2、下の唇弁1の5弁花で直径は1.2~1.5cm、距は短め、側弁の内側に白い細毛があります。もう一度会いたいフモトシハイスミレです。
文・写真:中澤博子さん