- 発行日 :
- 自治体名 : 兵庫県新温泉町
- 広報紙名 : 広報しんおんせん 令和7年8月号 vol.239
■令和7年度の住民交流学習「人権講座」がスタート
文化会館では、同和問題をはじめ、あらゆる差別や人権侵害をなくし、お互いの人権を大切にするまちづくりを目指して、毎年6月~10月の第4水曜日に、文化会館を会場に人権講座を実施していますが、本年度第1回人権講座を6月25日(水)に開催しました。
山本笙二文化会館運営委員長と西村銀三町長の挨拶の後、『無自覚の差別「障がい』をテーマにしたDVD「障がい者は困っています~合理的配慮へのポイント~」を視聴し、後半は人権啓発指導員の山崎香苗さんのお話で学習を深めました。
▽DVD「障がい者は困っています~合理的配慮へのポイント~」を視聴
障がいのある人への差別をなくし、障がいのある人もない人もお互いに人格と個性を尊重しながら共生する社会を目指して、平成28年4月から施行されている「障がい者差別解消法」。それに伴い、自治体や公的機関では、障がい者に対して「合理的配慮」が義務付けられ、企業や商店などでは努力義務が課せられるようになりました。
このDVDは様々な障がい別に障がい者の実態と日常での困りごとを具体的に示しながら、主に、自治体や企業、商店など、障がい者と接する機会が多い人たちはどのようにして対応していけばよいか、合理的配慮の観点から描かれています。「合理的配慮」が私たちの日常に当たり前のこととして浸透し、自然にお互いを支え合う社会の実現を目指しています。
▽山崎香苗さん(人権啓発指導員)の講話
障がい者とは、障害者基本法では「身体障害、知的障害又は精神障害があるため、継続的に日常生活または社会生活に相当な制限を受けるもの」とあります。また、「障がい者」の区分には「身体障がい者」「精神障がい者」「発達障がい者」「知的障がい者」などがあります。
今日のDVDに出てきたのは、身体障がい者のお話でした。身体障がいには、視覚障がい、聴覚障がい、平衡機能障がい、音声機能、言語機能障がい、咀嚼機能障がい、肢体不自由、内部障がいなどがあります。今日のDVDの表題は「障害者は困っています」です。障がいのある人は日常生活や社会生活に制限を受けることが多いです。これは、偏見という精神面と、物理的な不便さの両方があるのではないかと考えます。
平成18年に国連で「障害者権利条約」が採択され、平成28年には日本で「障害者差別解消法」が新しく制定されました。障がいのある方たちは長きにわたり多くの差別を受けてきました。まずは、障がいのある人への差別をなくし、障がいのある人もない人もお互いに人格と個性を尊重しながら共がいのある人のことを知ろう」とすることが第1歩になると思います。
『障がいがあってもなくても、不完全なこの世界で自分なりの役目を果たそうともがいている。それなのに障がい者だけがまるで透明人間だ。差別や特別扱いする以前に「知らない」で終わっている。それが健常者と障がい者に壁ができる大きな原因だ。知れば世界は変わる』。これは葦原海さん(今年度8月の人権セミナー講師)の言葉で、私の大好きな言葉の一つでもあります。
「合理的配慮」とは、「障がいのある人が、障害のない人と平等に人権や基本的な自由を享受できるよう必要かつ適当な変更及び調整を行うことです。これは特定の場合に必要とされるもので、過度の負担を課さない範囲で行われる」とされています。
たとえば、飲食店で、障がいのある人から「車いすのまま着席したい」と申し出があれば、テーブルに備え付けの椅子を片付けて車いすのまま着席できるスペースを確保したり、難聴や弱視の障がいのある人から筆談の申し出があれば、太いペンで大きな字を書いて筆談を行うといったことです。
今日のDVDでは、肢体不自由者で困っている人を見かけたら、まず声をかけ本人の意思を確認してから手助けをすることが大切だと言われていました。「本人の意思を確認する」ことが大切なところです。
また、車いすの人に話しかけるときは、腰をかがめ、同じ目線で話すことやそこに介助者がいても、介助者に聞くのではなく、必ず本人の意思を確認することが大切とも言われていました。
視覚障がい者に対しては、路上の点字ブロックの上に資材や物を置かないことや、視覚障がい者にこちらの意思を伝えようとするときはいきなり体を触らないこと、画面拡大ソフトや文章音声化ソフトなどの情報が得やすい環境を用意することなどが考えられます。
「障害者差別解消法」と、それに伴う「合理的配慮」が日常生活の中に当たり前のこととして浸透し、自然にお互いを支え合うことが出来るようになって初めて、障がい者も健常者も豊かに暮らせる社会が実現できるのだと思います。
皆さんの周りに、身体が不自由で日常生活でお困りの方はいないでしょうか。私たち誰もが、もっと歳をとれば、身体が不自由になり、視覚や聴覚に不自由を感じたりすることが起こるかもしれません。その時、今日のDVDで視聴したような配慮をしてもらったらどんなに助かることでしょう。
障がい者を特別と考えるのではなく、これから迎える超高齢化社会では、障がいがあることが誰でも起こりえることとして、社会全体でバリアフリー化を進め、合理的配慮を確保することでインクルーシブな共生社会を実現することができるようにしなければなりません。少し難しい言い方になりましたが、自然にお互いを支え合うことが共に豊かに暮らせるということではないでしょうか。
問合せ:文化会館
【電話】82-3328