くらし 県政最前線【グリーントランスフォーメーション】GXで持続可能な未来を描く!(1)
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- 自治体名 : 和歌山県
- 広報紙名 : 和歌山県民の友 2025年8月号
深刻化する地球温暖化への対応策として、「GX(グリーントランスフォーメーション)」が世界的に注目されています。GXは、化石燃料に依存した経済や社会の構造を脱炭素社会へ移行させるとともに、エネルギーの安定供給や経済成長を同時にめざす取組のことで、今後その実現に向けてさまざまな分野で大規模な投資が進むことが見込まれています。
県では、この状況を成長のチャンスととらえ、GXの取組を進めることで、将来にわたって県民の皆さんが安心して暮らし続けられる持続可能な社会の構築をめざしています。
■なぜ今、GXが必要?
地球温暖化を抑制するため、日本を含め多くの国・地域が「2050年までのカーボンニュートラル実現」をめざしています。カーボンニュートラルとは、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの排出量と森林等による吸収量を同じにすること。私たちの生活の主なエネルギー源となっている石油や石炭などの化石燃料は、消費される際に温室効果ガスの二酸化炭素(CO2)を大量に排出するため、化石燃料中心の社会からクリーンなエネルギー中心の社会への転換が必要となっています。
加えて、私たちの今ある暮らしを守り、より豊かなものにしていくためには、経済成長も不可欠です。
GXは、脱炭素に向けた活動を通して新たな市場や産業を創出することで、これまで困難と言われていた「環境対策と経済成長の両立」を図る重要な取組なのです。
世界中でGXや脱炭素化をめざす取組が始動し、社会・産業構造の転換期→和歌山県でも新しいビジネスや雇用を生むチャンス!→このチャンスに適切に対応していくことで、県が発展
このまま手を打たないでいると、県経済が伸び悩むだけでなく、地球温暖化が進んで異常気象や災害が発生しやすくなったり、食料不足等が発生したりすると予想されています。私たちの暮らしにも大きな影響が及ぶのです。
◆GXで実現したい未来の姿
県内企業の脱炭素化や今後高い成長が期待される産業の誘致が進み、「脱炭素社会の根幹を支える産業」が集積
↓
就職先や働き方の選択肢が増え、人々が暮らしやすい・働きやすい環境が整う
↓
将来世代が住みたい・働きたいと思えるような、誇りと希望をもてるまち、選ばれるまちとなる
※詳しくは本紙またはPDF版をご覧ください。
○「脱炭素社会の根幹を支える産業」とは
将来の和歌山を担う中心的な産業で、和歌山の地域特性と親和性のある次の産業を想定
・カーボンリサイクル燃料
・蓄電池
・次世代自動車
・洋上風力発電
・木質バイオマスの利活用
・宇宙産業
◆県が進めるGX(1)県内企業の成長を促進
GXは企業の価値向上や競争力強化にもつながることから、事業規模にかかわらず全ての企業でGXに取り組むことが重要です。
県の経済や雇用を支える企業が持続的に成長していけるよう、県内企業に対し、GXの第一歩となる脱炭素経営の導入を進めています。
○脱炭素経営と5つのメリット
脱炭素経営…気候変動対策の視点を織り込んだ企業経営
1 優位性の構築:CO2排出量の削減を取引先に求める企業に対する訴求力が向上
2 光熱費・燃料費の低減:非効率な作業や設備の更新を行うことでエネルギーコストを削減
3 知名度・認知度の向上:取組やその成果のメディア掲載等を通して知名度・認知度が向上
4 社員のモチベーション・人材獲得力向上:社員が自社の取組に誇りを持ち、働く意欲が向上/環境問題に関心の高い求職者が集まる
5 好条件での資金調達:脱炭素経営を進める企業に対する融資条件の優遇措置等が増加
○脱炭素経営の計画策定を支援
脱炭素経営には、「(1)経営方針の検討」、「(2)自社のCO2排出量の測定」、「(3)CO2排出量削減の計画策定と実践」の3つのステップが必要です。
この3つの取組を促進するため、CO2排出量の算定・省エネ診断の実施から、CO2排出量削減目標を盛り込んだ計画等の策定に至るまでに必要となる経費を補助しています。
補助対象経費:
・CO2を「見える化」するためのソフトウェア導入費・クラウドサービス利用料
・計画策定までの支援機関等によるコンサルティング費用 等
補助率:1/2以内(上限100万円)
対象:県内に事業所のある中小企業
募集期間:10月31日(木)17時まで
申請先・問合せ先:県工業技術センター
【電話】073-477-1271【FAX】073-477-2880
和歌山県工業技術センターのページへリンク
※詳しくは本紙をご覧ください。
◆脱炭素経営で取引先の信頼を得る
株式会社宮本工業 経営管理本部
ISO推進部長 兼 業務課長
竹谷充博さん
当社はプレカット(建築用木材を施工しやすい形状に加工すること)を主な事業とした企業です。国内外や取引先企業の脱炭素化の動きを受け、「今、脱炭素経営を始めれば、取引先からの評価につながる」と感じ、脱炭素経営に乗り出しました。
具体的には、県の補助金を活用し、専門家協力のもと、CO2の排出量の測定、削減目標の設定、削減計画の策定を行いました。当社の目標は、2030年度までにCO2排出量を2022年度比で33パーセント削減することで、その達成に向けて工場機械のブレーカーをこまめに切る、オフィスの消灯時間やエアコンの温度設定を見直すなどの取組を実践しています。それぞれは小さな取組ですが、社員一人一人が意識を持って行動を積み重ねることが大きな成果を生むと思っています。その他、工場から出る端材を畜産業やバイオマス発電に使う資源として専門業者に提供したり、会社の使用電力の一部に再生可能エネルギーを取り入れたりもしています。
先んじて脱炭素経営を始めたことで、実際に取引先の方からも評価の声を頂いています。