くらし 町長メッセージ

■ただ事ではない
印南町長 日裏勝己(ひうらかつみ)

毎日暑い日が続いています。
8月5日告示、10日投開票の印南町議会議員一般選挙は、1名欠員の無投票で立候補された11名の候補者が当選されました。ご当選誠におめでとうございます。心よりお慶び申し上げます。議会と執行部が両輪となり、切磋琢磨しながら印南町の発展を共に進めて行ければと思っています。どうぞ宜しくお願い申し上げます。
さて、7月30日午前8時25分ごろ、ロシア・カムチャツカ半島付近を震源とするマグニチュード8.7の地震が発生。気象庁は太平洋側など広い範囲に津波警報と津波注意報を発表しました。和歌山県においても津波注意報が発令され、その後、太平洋側で高さ3メートルの到達予想となったことで、津波警報に切り替わりました。印南町では避難所として印南避難センター、印南防災福祉センター、切目小学校の3カ所を開設するとともに、災害レベル4の避難指示を出しました。今回の津波警報は、外国での地震・津波の発生で、直接揺れたわけでもない津波避難でありました。印南学童クラブにいた子どもたちや、印南体育センターでバレーボールの合宿に来ていた大阪の高校生の避難もあり、避難者数は3カ所合計で300名を越えました。その後、夕方の6時半過ぎにようやく津波警報から津波注意報に引き下げられましたが、何の被害もなくホッと胸をなでおろしたところです。町からの注意の呼びかけに多くの皆さんが反応し、避難してくれたことは大変ありがたく思っています。今回は被害ゼロでありましたが、これが30年間に80%の確率で発生すると公表されている南海トラフに関係する地震・津波であったならどうなっていたのだろうと考えると、背筋が凍る思いであります。カムチャツカ半島の震源地から和歌山県までの距離は約2,900kmありますが、津波のスピードは水深5,000mで時速800km、8,000mでは時速1,000kmにも達するといわれ、到達時刻は3時間後の11:30頃と発表されました。結果的には御坊市の祓井戸で16時52分に30cmの津波が観測されました。
今回の経験から、避難所運営の中核となるのは行政、役場職員であり、災害発生時において、いかに不自由な環境の中で、効率良くに避難所を開設、運営していくために、課題を発見することができました。しっかり今後に活かしていかなければと思っています。今回の避難所運営にご協力いただいた多くの皆さまに心より感謝と御礼を申し上げます。
江戸後期の1854年、津波襲来に気付いた濱口梧陵が、自分の高台にある稲束に火を付け、それを目指して高台に向かった多くの村民が津波から逃げる事が出来た「稲むらの火」の物語は有名です。今では誰もが持つスマートフォンからけたたましく鳴る警報音は、どこにいても「ただ事ではない」ことを知る事が出来、時代を感じています。