子育て 〈特集〉1人じゃないよ「チーム育児」(1)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 島根県飯南町
- 広報紙名 : 広報いーなん 2025年6月号
共働き世帯の増加など社会環境の変化の中で、子育て中の親の育児負担や不安感は増加していると言われています。みんなで子育てをサポートすることで、親子ともに安心して暮らせる「子育てしやすいまち」を目指す取組を紹介します。
■01 病児・病後児保育はじまる
今年度から開所した病児・病後児保育施設「ぱぷりか」。5月17日に施設見学会を開催し、続々と親子連れが参加しました。
保護者が設備や利用方法などを尋ねる傍ら、子どもたちは遊びに夢中に。「まだ遊びたい」「ここなら病気の時も来たい」と、子どもたちの賑やかな声が響いていました。
◆安心して預けられる場所をつくる
「ぱぷりか」の職員として勤める森口由美子さん(上赤名)。看護師として、自身も仕事と育児の両立に励んできました。
「子育て中に、『普段仕事で離れてるんだから、子どもが病気の時くらい看てあげて』と周りから言われたことがある。でも仕事を休むのも限界がある。誰かが助けてくれる場所があればいいのにと思っていたんです」と森口さん。自身の経験から、子育て中の人を少しでも支えたいと、病児・病後児保育に携わることにしました。
仕事と子育ての両立で慌ただしく過ぎた日々。「自分の気持ちに余裕があれば、もっと子どもを見てあげられたんじゃないか」と自身の子育てを振り返る森口さん。困ったら「ぱぷりか」を頼ることで、親子がゆったりと向き合える時間が作れるのではと話します。
体調の悪い児童を受け入れる病児・病後児保育。森口さんは看護師として、小児の医療ケアについても学びたいと言います。「子どもは病状が急変することも多い。安心して子どもを預けられ、子どもも不安なくお迎えを待つ。『ぱぷりか』をそんな場所にしていきたいです」。
◆病児・病後児保育が当たり前の存在に
同じく「ぱぷりか」の職員として勤務する松田礼子さん(小田)は、雲南市の病後児保育併設型の保育所で長年所長を務め、病児保育の経験や知識も豊富です。
雲南市の病児受入施設がすぐ定員に達することから、「病児・病後児保育へのニーズの高さを感じていた」と言います。
「ほとんどの自治体に病児対応の保育施設がある。体調が心配な子どもを安心して預けられる場所が、飯南にも必要だと感じていました」と松田さん。
開始して間もない病児・病後児保育。利用を躊躇する人もいるのでは、と松田さんは感じています。「子育てで大事なのは一人で抱え込まないこと。時には誰かを頼ることも大切」と松田さん。困った時は、短時間でも利用してほしいと呼びかけます。
松田さんは、病児・病後児保育を利用することが当たり前のこととして、地域にも受け入れられてほしいと言います。「今の子育て世代はサポートしてくれる身内も少ない。親が抱える不安感を周囲が理解することが、子育てしやすい環境につながるのでは」と続けました。
◆子どもを育てながら、自分らしく働きたい
仕事を休む罪悪感、頼れる人がいない孤独感―。子育て中の誰もが、そんな苦しさや不安を感じたことがあるのではないでしょうか。
アンケートによると、子育てしやすいまちに必要だと思うこととして、就学前児童・小学生児童の保護者ともに多い要望は「働きながら子育てできる環境」。子育てに奮闘する親の心に寄り添いたいと願う「ぱぷりか」は、働くお父さん、お母さんの拠り所になっていくのではないでしょうか。
◆見学者の声
◇待ちに待った、待望の病児・病後児保育
未就学児2人のお母さん
子どもの急な発熱で仕事を休みがちに。職場で肩身の狭い思いをしていたので、病児・病後児保育を待ち望んでいました。
親として、子どもが病気の時はそばにいたい。でも、できない時がある。頼れる身内も近くにいないので、頼れる場所ができたことが嬉しいです。
◇子どものため、自分のため
未就学児3人のお母さん
子どもの体調が少し心配な日も、仕事を休めず保育所に預けていました。出勤後も、子どもに無理をさせている罪悪感が消えず、保育所から「お迎えに来てください」と電話があるかもしれない。ハラハラしながら仕事をしていました。
今後は体調が心配な日は「ぱぷりか」に預けようかと。子どもに無理をさせなくていいし、安心して仕事に向かえます。
◆病児・病後児保育施設「ぱぷりか」利用案内
児童が病気にかかっている、または回復期にあって安静にする必要があることから、保育所や小学校を休む必要があり、家庭での看護が困難な場合、一時的に児童を預かります。
施設名称:飯南町病児病後児保育施設愛称「ぱぷりか」
場所:飯南町頓原2084番地4(頓原町民プールの隣)
開所日時:月曜日~金曜日 8時~18時
休業日:土曜日、日曜日、祝日、8月13日~16日、12月29日~1月3日
利用定員:2人
利用料:児童1人あたり1日1,000円(生活保護世帯は無料)
利用対象者:生後6ヵ月から小学校6年生までで、事前に医師が病児・病後児保育の利用に適応すると判断した児童
利用申請方法など詳しくはホームページをご覧ください。
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