- 発行日 :
- 自治体名 : 岡山県奈義町
- 広報紙名 : 広報NAGI 2025年8月号(825号)
■世界を広げる
ここ数か月、奈義町では国際交流がとても活発に行われています。4月以降コンサートが3回、世界の料理をテーマにしたイベントが5回、インド映画上映会やカリフォルニアプールパーティも開催されました。これらのイベントが無事に開催できたのは、いつも新しいことに前向きな住民の皆さんのおかげです。ありがとうございます。
私の知る限り、日本全国を見渡しても、人口規模に対してこれほど多くの国際的なイベントが開催されている町は他にないかと思います。他県からもお祝いの言葉や、ときには「羨ましい」という声までいただいています。
私たちCIR(国際交流員)は、自分たちの役割は単にそれぞれの母国文化を楽しんでいただくために紹介することに留まってはいけないと考えています。それ以上に大切にすべきは、世界への「窓」を開く案内人たること、つまり文化(日常生活も含む)に基づいた異なる考え方や価値観を紹介し「所変われば視点も変わるもんだな」というのを感じていただくことではないかと思います。
例えば、フランスではスーパーで牛乳パックが冷蔵ではなく常温の陳列棚に並んでいるのはいたって普通の光景なのですが、日本の方がそれを見るとだいたい「えーっ!牛乳パック、冷蔵しなくていいの?腐らないの?」と驚かれます。実は、ヨーロッパの国々では日本とは異なった殺菌処理の方法がとられており、常温保存しかも長期保存が可能なのです。フランス人にとっては牛乳パック=常温保存が「当たり前」なので、逆に日本に引っ越してきたばかりのフランス人はスーパーで牛乳を見つけるのに苦労するかもしれません。これはひとつのちょっとした例ですが、こんな風に世界を知ることで「常識」というものが必ずしも唯一のものではないと気づくのではないでしょうか?
私自身も日本に来てから驚いたことがありました。それは、小学生の息子が友だちと一緒に安心安全に登校している姿です。フランスでは子どもたちだけで登校することは考えられません。でも、地域の協力や見守りのおかげでそれが日本では「当たり前」であることを知り、素晴らしいと思いました。
私たちの考え方や価値観は、環境や習慣に大きく影響されます。そのため、異なる文化に触れることで新しい視点や考え方を得ることもできます。普段の生活で少し疑問に思うようなことが、新たな選択肢のヒントとなり得ることかもしれません。日本の文化の良さを改めて認識することもあるでしょう。これこそが私たちCIRの役割なのではと思っています。
さて、8月から新たにCIRとSEA(スポーツ国際交流員)がそれぞれ1名、奈義町に加わります!彼らと一緒に、さらに多くの「世界との出会い」を奈義町の皆さんと作っていけることをとても楽しみにしています。