健康 萩市民病院 健康ガイド

■第2回膝の痛みでお困りではありませんか?
今回の先生/萩市民病院整形外科科長 武藤正記(まさのり)

膝の痛みは、比較的若年者から高齢者まで、またスポーツや農業などの重労働をされる活動性の高い方から屋内生活が主の方まで、幅広くたくさんの方が抱える悩みです。日本では約2,500万人(4人に1人)、65歳以上の高齢者では2人に1人が膝に痛みを抱えていると言われています。
膝が痛いと、活動性が低下し、行いたいこと(家庭菜園やスポーツ、趣味活動、旅行など)も大きく制限されます。放置すると、次第に歩行が困難となり、介護が必要となります。日本は、世界でもトップクラスの長寿国であり、現在では「人生100年時代」と言われるようになりました。ご自分の寿命の中で、いかに元気で活動的に暮らすことができるか、つまり「健康寿命」をいかに延ばすか、が注目されています。
四肢(両手両足)の運動器の中で、衰えが最も顕著に現れてきやすいのが「関節」です。
特に、「膝」関節は人体の中でも最大の関節であり、体を支え、立つ・座る・歩くといった日常動作を行うのに重要な役割を担っています。関節は、滑らかで骨より弾力のある組織で覆われた「軟骨」により、スムーズで痛みのない関節の曲げ伸ばしが可能となっています。この軟骨が、過度な負荷や加齢・外傷などによって変性・摩耗を起こして痛みや変形を来たす疾患を「変形性関節症」と言います。女性の方が患いやすく、高齢になるほど多くなり、基本的にはゆっくり進行するため、痛みや障害をあまり感じずに一生を終える方も多くおられます。
その一方で、病気や怪我により早期に進行し、比較的若いうちに痛みや動きにくさに悩む方もいます。もともとの骨格(O脚、X脚)や肥満、筋力低下、遺伝的素因も関係します。多くは中年から起こってきますが初期であると気づかないことも多く、膝の関節症は40歳以上の約20%に存在するという報告もあるくらい起きやすいです。
炎症を起こすと膝が痛み、腫れを生じます。初期段階では膝の曲げ伸ばしが障害され、膝が完全に伸びなくなり、正座ができなくなります。進行するにつれ、階段昇降や歩行時の痛みが出現し、徐々に変形を生じ、最終的には歩くことが困難となります。

■「膝の痛み」への予防・注意点
(1)ふとももの筋肉(大腿四頭筋)を強化する運動を行い、衰えを防ぐ。
(2)肥満であれば減量する。
(3)長時間の正座や、膝を地面についての作業、膝を深く曲げての作業(草取りなど)を避ける。
日常生活での取り組みが大事です

膝の痛みを感じたら、整形外科を一度受診してみてはいかかでしょうか。膝の痛みを予防・軽減し、いつまでも元気で活動的に暮らし、「健康寿命」を伸ばしましょう。
今回の記事で、治療について詳しく述べていませんが、「関節が痛くなる原因、予防法、治療法などをもっと詳しく知りたい!」という方は、10月に開催される市民公開講座に、ぜひご参加ください。

■「市民公開講座」を開催します!
日時:10月11日(土)15:00~17:00
場所:総合福祉センター多目的ホール
講師:坂井孝司(山口大学整形外科教授)

問合せ:市民病院事務部
【電話】25-1200