- 発行日 :
- 自治体名 : 徳島県美波町
- 広報紙名 : 広報みなみ 2025年7月号
■カレッタが目指す博物館
いよいよカレッタがリニューアルオープンします。関係各位のご尽力により、最新の情報に基づくウミガメの展示と、「ウミガメの聖地」の歩みを紹介するのにふさわしい施設となったことを感謝します。しかし、リニューアルオープンは決してゴールではなく、新しいカレッタを育てていく第一歩です。たとえ完成時には最先端の展示であっても、ウミガメの科学的知見は常に更新され、取り巻く環境は日々変化していきます。そのため、常に情報の収集や環境の変化を確認し、展示内容と照らし合わせ、必要に応じて追加説明や修正を検討する姿勢が必要と考えています。あわせて、これからのカレッタが目指す博物館のあり方についても考えていく必要があります。その一つとして、1970年代にフランスで生まれた「エコミュージアム」という概念があります。これは、地域の自然・歴史・文化・生活そのものをまるごと「博物館」ととらえ、それらを住民の手で保全・活用する仕組みです。「エコミュージアム」は、博物館を従来の「収蔵物を保存・展示する施設」から「人と地域をつなぐ拠点」へと発展させた考えであり、持続可能な地域社会の形成にも重要な役割を果たすとされています。実はカレッタ設立の背景には、この考えに通じる要素が見られます。カレッタの出発点は日和佐中学校の生徒によるウミガメ調査活動で、町がこれを引き継ぐ形で今日のカレッタが誕生しました。また、大浜海岸の自然環境やウミガメ保護条例の制定、町ぐるみの産卵環境保全、監視活動など、町全体で取り組んできた長年の努力が、「ウミガメの聖地」となりました。これらは「エコミュージアム」そのものといえるでしょう。展示についても、大浜海岸そのものを野外展示と見立てたり、ウミガメ産卵保護活動を体験プログラムとして取り入れることで、博物館の枠を超えた「体験する展示」となります。こうした取り組みによって、来館者は単に展示物を見るだけでなく、その背景にある「ウミガメの聖地」の物語に触れ、より深い理解と共感を得て頂けると考えています。
館長:平手康市
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〒779-2304徳島県海部郡美波町日和佐浦369うみがめ博物館カレッタ「質問係」
■Question
ウミガメはどうして減ってしまったの?
■Answer
ウミガメの子ガメは他の生き物に食べられてしまうことが多く、成長にも長い年月がかかるので、もともと大人になるまで生き残る数が多くありません。それに加えて、様々な人間の影響でさらに生き残る数が減っていることが大きな原因と考えられます。