- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県今治市
- 広報紙名 : 広報いまばり 2025年8月号
■糖尿病と歯周病の関係について
今治市医師会 今岡大也
糖尿病と歯周病、一見、関係のなさそうなこれら二つの疾患が実は密接に関連していることをご存知でしょうか。
糖尿病は、神経障害、網膜症、腎症のほか、心筋梗塞や脳卒中など、さまざまな合併症を引き起こすことが知られています。一方、歯周病とは、炎症によって歯を支えている歯茎や骨といった歯周組織が破壊される病気です。歯周病では、グラム陰性菌をはじめとした複数の細菌が歯と歯茎の隙間などで繁殖し、それらの菌から出る有害物質が歯周組織に炎症を起こすのです。また、この歯周病菌が血液中に流れ込み、血糖管理に重要なインスリンというホルモンの働きを邪魔すると考えられています。
近年、研究が進み、糖尿病があると歯周病の進行が促進されること、進行・重症化した歯周病が糖尿病の血糖管理に悪影響を与えることがわかってきました。お互いが悪さをし合う関係といえます。そのため歯周病の治療を行うことで糖尿病の状態が改善するケースも見られるようになりました。ヘモグロビンA1c(エーワンシー)と呼ばれる糖尿病の検査値でいうと、歯周病を治療することにより平均で0.4%改善するといわれています。
日本人の40歳以上の約8割が歯周病に罹っているといわれ、生活習慣病の一つとも考えられています。したがって糖尿病を治療中の方はもちろん、糖尿病をお持ちでない方も、歯周病がないかどうか歯科診察を受け、あればその治療をするとともに再発予防に努めることが大事です。かかりつけ歯科医を定期受診することをお勧めします。
※このコーナーの記事は今治市医師会広報委員会のご協力によるものです。