- 発行日 :
- 自治体名 : 愛媛県大洲市
- 広報紙名 : 広報おおず 2025年10月号
農業
沖野順一(じゅんいち)さん
趣味は音楽。休みの日はライブに出かけることも。
2022年にお米ソムリエ、2024年に白米ソムリエを取得するなど、日々挑戦を続ける38歳。
■自分らしい挑戦で描く、農業の未来
松山市で自動車関連の仕事をしていた私は、26歳のとき実家の米農家を継ぐためUターンしました。今年で就農12年目。現在は、水稲を作業受託も含め約20ヘクタール、野菜を約50アール栽培しています。
就農してまず驚いたのは、こだわって作った米も同じ袋・同じ価格でお店に並び、誰がどのように作ったのか消費者に伝わらないことでした。そこで2017年に愛媛県内で4人しかいないお米のソムリエである「米食味鑑定士」の資格を取得。近くには宇和や三間など有名な米産地があるため、地域としてブランディングしていくよりも、“鑑定士が作った米”として個性を打ち出し差別化を図った方がよいと考えました。
また、自分が作ったお米で何か新しいことに挑戦できないかと考え、高齢化の影響で地域の餅屋が少なくなっている中、「挑戦してみたらどうだ」と父に勧められ、杵つき餅づくりを始めました。元パティシエの妻とポン菓子や米粉クッキーなども製造し、直売所や道の駅で販売しています。
限られた人手でも効率のよい作業形態を目指すため、スマート農業にも取り組んでいます。ドローンによる農薬散布をはじめ、直進操舵田植機、旋回機能付きトラクター、食味収量センサー付きコンバインのほか、クラウドでの作業管理やAIと衛星データによる圃場の見える化、水位・水温センサーなどを活用。これにより管理できる面積を増やし、高齢化で作業が困難な方からの依頼も受けることで、地域の耕作放棄地を増やさないように貢献できればと考えています。
最近では、「米・食味分析鑑定コンクール国際大会」の2018年、2024年の審査員を務めたり、スマート農業に関する講演依頼をいただくことも増えてきました。将来的には法人化し、若い担い手を雇って、持続可能でメリハリのある農業経営を目指したいと考えています。これからも地域に根差しながら、新しい挑戦を重ね、自分らしく農業に取り組んで行きたいと思います。