くらし [令和版]山城作業日記 河後森城(かごもりじょう)からこんにちは -12-

前回説明を行った堀切(ほりきり)と同じく、地山となる岩肌を掘り抜いた防御施設の中には、竪堀(たてぼり)と呼ぶ種類の空堀(からぼり)も数多く見受けられます。
堀切が山の尾根筋に直交する方向に掘りくぼめられ、主に敵兵の登城ルートを遮断する目的で設けられたのに対して、竪堀は堀切とは逆に尾根筋の方向と平行して設けられていました。これは、敵の横方向への移動を防ぐものであり、堀切と組み合わせて使うことによって、城内、特に斜面での自由な動きを制限するのに大きな威力を発揮したと考えられます。また、仮に敵兵が竪堀の底を利用して登ってくるような場合であっても、城攻めのルートが固定できるため、これに応じて効率的な攻撃を準備することも可能となっていたのです。
このように、一見して自然の山に見える城の斜面には、山裾から単純に登城できないようになっています。また、仮に途中まで登ったとしても行き先を失ってしまうような無数の仕掛けが張りめぐらされていました。

※写真は広報紙P.12をご覧ください。