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多々良川の歴史散歩道

「歩・歩・歩(さんぽ)・会」
今村 一朗

多々良川は、糟屋郡宇美町と飯塚市の境にある砥石(といし)山(標高828メートル)を源流とし、支流の鳴渕(なるふち)川、猪野(いの)川、宇美川と合流し、名島で博多湾に注ぐ、長さ17.8キロメートルの河川です。
川の名前となっている「多々良」は鋳物(いもの)を造るときに使う踏鞴(たたら)(大型の足踏みふいご)が由来といわれています。神功皇后(じんぐうこうごう)が三韓(朝鮮半島)への出兵から凱旋したとき、大陸から渡って来た多くの鋳物工(いものこう)が多々良川周辺に移り住み、川砂の砂鉄で鋳物を造っていたという伝えがあります。国宝となっている観世音寺(かんぜおんじ)(太宰府市)と妙心寺(京都市)の日本最古の梵鐘(ぼんしょう)は、多々良川流域で鋳造されたといわれています。
多々良川の下流域には、多々良川河畔公園と遊歩道が整備されています。遊歩道周辺には、神功皇后が三韓から帰還した時、船の帆柱が化石になったという「帆柱石」をはじめ、古墳や古戦場跡(多々良浜の戦い)、名島城址、唐津街道、名島発電所跡など、古事記の時代から近代にかけて多くの史跡が残されています。
春は桜、秋は紅葉、冬は渡り鳥の観察を楽しみながら、散策してみませんか。