くらし ちくしのびと chikushinobito(21)

今〝輝いている〟人・団体を取り上げる「ちくしのびと」。
今回は、忘れたくない瞬間や未来に託したい想いを1枚の絵に表現する「想い絵」画家、梶山奈実さんを紹介します。

■ご縁(えん)に感謝(かんしゃ)し、想(おも)いを絵(え)に
画家 梶山奈実(かじやまなみ)さん

▽Profile
昭和50年山口県生まれ。市内むさしヶ丘在住。山口芸術短期大学卒業。平成13年から絵本の挿画、似顔絵を中心に活動し、平成21年から結婚を機に筑紫野市に拠点を移す。現在は子育ての傍らイラストの制作、絵画教室の主宰なども行っている。

▽市内に広がるかじやま作品
つくしちゃんカフェ(市内武蔵)の中に並ぶ、柔らかなタッチで描かれた筑紫野市の風景に目がとまりました。水彩絵の具に人の想いが溶け込んでいるかのように、見ているだけでなんだか自然と温かく優しい気持ちになってきます。梶山さんが開いた「愛する筑紫野想い絵展」でのことです。梶山さんは想いを大切に描く作品を「想い絵」と名付けて、心が動いたものや共感できたことなど、自分の想いを重ねて表現できるものや場所を描いています。2年ほど前からは市内のさまざまな場所や文化財など、筑紫野市に根づく多くの人の想いと写真では写せない魅力を筆にのせて表現しています。現在13作品があり、それらの原画は全て関連施設などに寄贈、奉納するなどしたうえで、梶山さんが念願としていた絵はがきにもなっています。

▽想いを聞いて、想い描く
制作する絵画は、数カ月手を入れ続けることもあります。納得がいく作品が完成するまでには依頼主だけではなく、対象に詳しい人に話を聞いたり現地を訪れたりして勉強します。「想いを大切にしたいから、好き勝手に描いてはいけないところは守りながら、自由に想像を巡らせながら描けるところはイメージを膨らませて、絵だからこそできることを形にしていくことを楽しんでいます。依頼を頂いて、多くの人とのご縁の中で私自身が育ててもらって描いています」と梶山さんはうれしそうに作品の背景や関わった人たちへの感謝の気持ちを語ってくれました。
自らが描くだけではなく、多くの人を巻き込み協力を得ながら、絵を楽しむことを人に伝える活動も行っています。筆を持つ人それぞれに想いやイメージがあって、絵があるから、押さえつけるような絵画技術の指導はしません。楽しいアートは楽しい雰囲気から生まれるという考えから梶山さん自身も楽しみながら、「こういうやり方もあるよね」と投げかけてイメージを膨らませ、やりたいことのお手伝いをします。市内の子どもから大人まで多くの人が梶山さんを慕って集い、ともにアートを楽しんでいます。

▽今後のチャレンジ
まだ描けていない、愛する筑紫野市の魅力ある場所やものはまだまだ尽きません。それらを描く筑紫野絵はがきは、これからも増やしていきたいと考えています。「私自身が知らない筑紫野市の魅力的なところもまだいっぱいあるだろうし、今後も人とご縁でつながることで、増やしていけたらうれしいです」と語る梶山さん。また、水彩画の枠を超えて、さまざまな道具や手法を用いたアートへのチャレンジにも夢を膨らませています。思い切り楽しんで取り組みながら、作品を見た多くの人に想いが伝わり、傍に置きたいと思ってもらえるようなものを作りたいと目を輝かせました。梶山さんが筆にのせて描く想いが、これからも多くの人の心に温かく届きそうです。

梶山さんの作品や活動はインスタグラムで見ることができます。