くらし ちくしのびと chikushinobito(23)
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- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県筑紫野市
- 広報紙名 : 広報ちくしの 令和7年5月号
今〝輝いている〟人・団体を取り上げる「ちくしのびと」。
今回は、小学生ながら世界で活躍する若きピアニストを紹介します。
■一音一音にかける想い
ピアニスト 熊本海音(くまもとかのん)さん
▽Profile
原田在住。原田小学校5年生。3歳からピアノを習い始め、日本クラシック音楽コンクールや東京国際ピアノコンクールなどさまざまなコンクールで優勝を飾り、世界のコンテストで金賞を受賞。
好きなことは、お絵描き。
▽感性と努力の少女
「ピアノを始めてからほぼ毎日、4〜5時間以上の練習を欠かしたことがありません」そう語る熊本海音さんの表情からは、音に対する真摯(しんし)な姿勢がうかがえます。持ち前の感性と努力を武器に、ピアニストとして国内外で活躍する熊本さんは、一つひとつの音と全力で向き合う日々を送っています。
熊本さんがピアノを始めたのは3歳のころ。母親がピアノ教室を開いていたこともあり、物心が付くころからピアノの音が身近にある環境で育ちました。そんな熊本さんが練習の中で特にこだわっていることは、イメージ通りの音を出すこと。幼いころから、曲を聴くとその曲の持つ物語が連想されるという熊本さんは、そのイメージに合った音が出るまで決して妥協しません。「理想の音に近づくまで、何度も試します。ときには1音のためだけに8時間も練習したことがあります」と熊本さんは話します。
▽世界に響かせるこだわりの旋律
日々の努力の成果は、確実に実を結んでいます。日本クラシック音楽コンクールでの最高位受賞や東京国際ピアノコンクールでの第1位受賞など幼いころから名だたるコンクールで優秀な成績を収めてきました。また、アクロス福岡シンフォニーホールで九州室内合奏団と共演をしたこともあります。
熊本さんの活躍は国内だけではありません。イタリアで参加したオーディションでは、音大生や大人も参加する中で、小学生ながらに選出され、プロのオーケストラとの共演を果たしました。また2月には、世界中から受講者が集う、名門ウィーン国立音楽大学のマスタークラスに参加し、そこでも受講者の中から、特別コンサートへの出演の機会を獲得し、演奏することができました。
熊本さんは、令和6年度だけでも海外の11のコンクールで最優秀賞を獲得。今年の夏には、念願であったアメリカ、ニューヨークにある伝統あるコンサートホール、カーネギーホールで演奏を行います。
▽忘れることのない地元愛
世界で活躍する熊本さんですが、次の目標は地元、福岡での初リサイタルの開催です。「応援してくれる人たちに、今の自分の音を届けたいです。生まれ育った場所での演奏は、私にとってとても大切な意味があります」と力強く話してくれました。
「お世話になった人たちへの感謝を忘れることなく、世界で活躍し、皆に愛されるピアニストになりたいです」熊本さんの紡ぐ音には、聴く人に物語を運ぶ力強さと、心に寄り添う優しさがあります。その音楽が、これからどのような世界を描いていくのか。彼女の成長は、まだ始まったばかりです。