くらし こがんひとこがんとこ Vol.75

◆オーガニックは止まらない
久保 健一郎(くぼ けんいちろう)さん
(オーガニック広場ひふみ)

古賀駅前に「わんぱく小僧」というファミコン屋があったのを覚えているだろうか?久保さんが、40歳の時に大手家電量販店を脱サラして最初に手掛けた商売だ。ピーク時には7店舗まで増えたが、時代の波には抗えなかった。次に彼が興味を持ったのはそれまでとは別セカイの「環境・健康」。農薬や化学肥料に頼らず、人や微生物など全ての生き物が健全に循環する社会をめざす『オーガニック*11』。学ぶほどに深く、次世代を危惧(きぐ)するほどに必要な考え方だと感じた。作る方は農業のプロに任せ、彼は経験のある小売りで広めようと、「ひふみ」をオープン。欧米と比べ古賀のオーガニック人口の割合はまだまだ少ない。当初から〝商売〟としては難しいことを覚悟のうえで始めた店だった。

オーガニック人口を増やし、理想社会を作りたい!そんな夢を持つ彼は、へこまずブレない明るいチャレンジャー。昨年夏、理想社会のモデル『日土水(ひとみ)むら*2』を立ち上げた。生活の全てがそこで完結できる形のない村。メンバーはまだ60人余りだが、定期的にマルシェも開催しオーガニックが身近なものになりつつある。
「オーガニックが当たり前の世界になるといいなと思う。でも、ひふみを繁盛店にしたいというのとはちょっと違う。忙しすぎてお客さんと話ができなくなると困るんです。ピッタリのものをおすすめしたいし理解して長く使ってもらいたいから。」儲けより、お客様の健康のため対応密度を大切にするのが彼のやり方だ。

昨年の6月から市内のこども園の給食用にオーガニック食材を卸すように。野菜嫌いな子が良く食べるようになったとか風邪をひきにくくなったと聞くと、本当にうれしい。学校や家庭の食事にも広がって、オーガニック食材の利用者が増えれば、作る人も増え、古賀市はオーガニックの先進CITYになっていくのでは、と期待する。自分のこと、周りのこと環境のことを意識しながら生きていく人が増えれば増えるほど体も環境もいい方向に変わるはず。「苦節17年!ようやく進み始めた感があるが、まだ一合目か二合目あたり。生きている限り理想に向かって一歩ずつ登っていきたい」と顔を輝かせた。

▽オーガニック初心者は、毎日使う調味料から始めるのがおすすめ。味噌、醤油、塩、油、酢など日頃からちょっと意識するだけで、体に入る添加物の量が減り家族の未来の健康寿命を延ばすのでは、とアドバイスしてくれた。

*1 オーガニック:農薬や化学肥料に頼らず、太陽・土壌・水・そこに生物など自然の恵みを生かした農林水産業や加工方法のひとつ。
*2 日土水(ひとみ)むら:日と土と水で農作物が採れることから名付けた。地域通貨を作り、医衣食住遊智すべてそこで完結・循環できる社会の概念。みんな違ってみんな良い、互いの違いを認め合う世界。ベースはオーガニック。

【オーガニック広場ひふみ】
住所:天神1-2-3
【電話】944-5755
営業時間:10時~19時
・ひふみ Instagram
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