- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県朝倉市
- 広報紙名 : 広報あさくら 第416号(令和7年10月号)
■旧優生保護法
~過去の現実に学び、自分事として物事を捉える未来へ~
令和6年7月3日、最高裁大法廷は「旧優生保護法」は違憲であり、被害者に対して賠償することを、国に命じる判決を下しました。
戦後の人口急増に伴う食糧不足解消などを背景に「優生上の見地から不良な子孫の出生を防止するとともに、母性の生命健康を保護することを目的とする」(第1条)として、昭和23年に「優生保護法」が制定・施行されました。
この法律には、遺伝性疾患などがある人に対して、本人の同意がなくとも、審査によって強制的に優生手術(不妊手術)を実施できると規定されており、平成8年「母体保護法」に改正されるまでの48年間に、人工妊娠中絶も含め、全国で約8万4千人もの人が身体的・精神的な被害を受けました。
旧法は、現行憲法の下にありながら、遺伝性疾患がある人や障がいのある人などの存在そのものを否定し、憲法第13条「すべて国民は、個人として尊重される。」第14条「すべて国民は、法の下に平等であって(~中略~)差別されない。」に反する非人道的かつ差別的な内容により長年人権侵害を続けてきました。
また、優生思想を国策として、優生手術などを積極的に推進し多数の被害者を生んできた事実は、社会に優生思想を根付かせ、今なお残る偏見・差別にもつながっています。
昨年、旧優生保護法に基づき被害を受けた人たちに対し補償金などを支給する法律が制定されました。しかしながら、被害者やその家族の苦痛、苦難は想像を絶するものであり、これからも消えてなくなるものでもありません。
私たちは、非人道的な事柄、人権侵害などが法律の下で行われてきたという事実、過去の過ちからさまざまなことを学ばなければなりません。そして、差別や偏見などをなくしていくため、「誰もが等しくかけがえのない存在であり、互いに尊重しあうこと」を意識し、自らの潜在意識に今一度目を向ける必要があります。
一人ひとりが正しい知識と人権感覚を身に付けること、そして広い視点で物事を捉え、自分事として行動することが、社会全体の意識改革につながるのではないでしょうか。
問合せ:市人権・同和対策課
【電話】28-7861
