- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県芦屋町
- 広報紙名 : 広報あしや 令和7年9月号
■芦屋の八朔(はっさく)行事(2)
前回に引き続き、国の「記録作成等の措置を講ずべき無形の民俗文化財」に選択された「芦屋の八朔行事」を紹介します。
◇八朔のわら馬と団子雛(だごびーな)
わら馬は、藁(わら)製の素朴な形の馬に、紙で作った武者人形と旗はたさしもの指物を乗せたものです。旗には「こういう人になってほしい」という願いや、あやかりたいという思いを込めて、武将の名前を書きます。最近は、スポーツ選手の名前の旗を背負わせることもあります。このわら馬を、多い家では300体近く作り、飾ります。
だごびーなは、米粉を蒸した団子に彩色し、雛ひな人形にしたものです。だごびーなは、厚紙の上に乗せた状態で飾られます。意いしょう匠に決まりはありませんが、縁起の良いものが作られます。昔からよく作られるものに、はねそ盆踊りの姿のもの、鶴亀、巾着、花、ナスやダイコンなどの野菜、タイやイカなどの魚類などが挙げられます。昭和60年代以降になると、アニメや漫画のキャラクターを模した、かわいい趣向(しゅこう)を凝らしただごびーなも見られるようになりました。
◇八朔の飾りつけ
わら馬とだごびーなは、ひな壇のように階段状の段を組み、飾られます。わら馬とだごびーなに加え、男児の場合は大将馬を、女児の場合はひなまつり用の雛人形を最上段に飾り、段の左右には、ツマグロ(鳳仙花(ほうせんか))を一対飾ります。ツマグロは、左右で紅白にすることもあります。さらに、男児の場合は、段の背面に笹飾りを用意し、金銀の色紙と、竹ひごや爪楊枝(つまようじ)で作られた弓矢や、ご祝儀などを下げて飾ります。女児の場合には、笹飾りはあまり飾りません。また、漁師の家では、段の背面や周囲に大漁旗を張り巡らします。そのほかにも家紋入りの幔幕(まんまく)を使うことがあります。
◇幸せのおすそ分け ウマモライ
八朔の翌日になると、こどもたちが行事のある家に行き、わら馬やだごびーなをもらいます。これを「ウマモライ」と呼びます。平成元年ごろまでは、午前0時、日付が変わると同時に、こどもたちがもらいに走る姿が見られていました。家の戸を叩き、寝ている家かじん人を起こしてわら馬やだごびーなをもらい、午前2時~3時には、わら馬はなくなっていました。現在は、2日の午前7時過ぎくらいから近所の人に配られることもあります。
「八朔の節句」パネル展では、さらに詳しく紹介していますので、歴史の里へ見に来てください。
(芦屋歴史の里)