- 発行日 :
- 自治体名 : 福岡県添田町
- 広報紙名 : 広報そえだ 令和7年7月号
罪を犯した人や非行のある少年が再び過ちを犯さないように、地域の中で見守り支援し、自立と更生を助ける「更生保護」という制度があります。その中でも「保護司」は中心的な役割を担っていますが、現在は高齢化や人手不足といった課題を抱えています。今回は、地域社会の中で「保護司」や「更生保護」の活動がなぜ必要で、どれほど重要なのかを考えます。
■罪を犯した人が過ちを繰り返さないために
罪を犯し刑務所や少年院に入った人も出所後は社会に戻らなければなりません。しかし、いざ社会に戻っても、仕事や住居がなく、身近に頼れる人がいなければ、「真面目に頑張ろう」という意欲が失せてしまいます。その結果、再び犯罪に手を染め、新たな被害者を生むことも少なくありません。
こういった悪循環に少しでも歯止めをかけるため、法務省の機関である保護観察所では、地域のボランティア「保護司」の力を借りて、犯罪や非行をした人たちの社会復帰を支える「更生保護」に取り組んでいます。
○犯罪を繰り返す「負のサイクル」
→犯罪・非行→反省・償い→社会復帰→居場所や仕事がない→
犯罪や非行をした人たちが立ち直るには本人の努力はもちろんですが、社会に居場所がないために犯罪を重ねてしまうことがないように、地域で見守ることが大切です。
■更生への道をともに歩む「保護司」
保護司は、保護観察所からの依頼を受け、地域で生活している保護観察対象者の見守りや支援を行います。月に数回、対象者と面談を行い生活状況を把握したり、悩みや困り事の解決策を模索したりします。さらに、ハローワークへ同行したり、家族との関係を調整したりすることもあります。また、更生保護女性会など関係団体と連携し、犯罪予防活動も積極的に行っています。
■保護司の減少と高齢化 求められる次世代の担い手
保護司の定員は法律で定められていて全国で52500人が上限ですが、令和7年1月1日現在では46043人です。また、保護司の任期は2年ですが、多くの保護司は再任を重ねて長年活動を続けられています。これまでは76歳を超えると再任できませんでしたが、令和3年度から、少なくとも78歳までは活動が続けられるよう特例再任制度の運用が始まりました。それでも近年は保護司が減少傾向で、直近の10年間では1896人減少しています。
高齢化も顕著で平均年齢は65.4歳となっています。これまでは定年退職した人が保護司の中核を担ってきましたが、定年年齢の引き上げなどで、人材確保が困難になってきています。人員不足や高齢化といった状況が続く中、新たな担い手の確保は急務となっています。
○全国の保護司数の推移(法務省資料より)
(各年1月1日時点)
■誰もが暮らしやすい社会をつくるため
保護司が保護観察対象者を担当できる期間は、法律であらかじめ定められています。担当期間が終了した後、対象者が再び罪を犯さず、安定した生活を続けていくためには、地域の皆さんの理解と温かい見守りが欠かせません。
犯罪や非行をした人に対して「怖い」と感じるのは自然なことです。しかし、彼らがそのような行動に至った背景を知ることで、私たちにとっても無関係ではない問題であると気づかされることがあります。
罪を悔い改め立ち直りを願い努力する人を支援すること、罪を犯した人が再出発できるよう地域で支えていくことは、非常に重要なことです。彼らが地域の一員として穏やかに暮らせるようになれば地域全体の安全・安心にもつながります。
■7月は「社会を明るくする運動」強調月間です
「社会を明るくする運動」は、犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの更生に理解を深め、それぞれの立場で力を合わせ、犯罪や非行のない明るい社会を築こうとする全国的な運動です。
誰もが暮らしやすい社会を実現するために、更生保護制度へのご理解とご協力をよろしくお願いします。
■添田町保護司会 水上普(ひろし)会長に「保護司」について聞きました
―保護司になったきっかけは?
先輩保護司から「力を貸してほしい」と声を掛けられたことがきっかけです。もう25年程前になります。
―保護司のやりがいや活動の上で大切にしていることは?
保護観察対象者と初めて接するとき、先入観を持たないことを意識しています。対象者はそれぞれ犯罪の奥に見えるものが違い、抱えている問題も違うので、そこから救い出す、更生させるのは難しいです。ただ信じて、寄り添って、心を開いてくれるのを待っています。だから、面談を重ねる中で最初に感じた壁がとれたと感じたとき、笑顔を見せてくれたとき、心を開いてくれたとき、立ち直ろうとする姿を直接見れたときは保護司をしていてよかったと感じます。
―保護司として今後の活動は?
ここ数年、添田町での保護観察対象者は減少傾向で、保護司活動に対する負担も減ってきています。添田町保護司会ではその分今月の「社会を明るくする運動」強調月間などでの啓発活動に力を入れていきます。
■保護司の活動に興味がある皆さんへ
保護司になるには保護観察所での手続き後に法務大臣からの委嘱を受けなければなりません。詳しくは田川保護区保護司会更生保護サポートセンターまで問い合わせください。
○保護司になるための4つの基準
・人格や行動に社会的信望があること
・職務遂行に必要な熱意と十分な時間的余裕があること
・安定した生活基盤を持っていること
・健康で活動力があること
○田川保護区保護司会更生保護サポートセンター
サポートセンターは、保護司が地域で更生保護活動を行うための拠点となる施設です。新任保護司への研修や助言なども行っています。
所在地:田川市中央町4番22号
【電話】42-0509
開所日時:月曜日~金曜日 各日10時~16時
※祝日、お盆、年末年始を除く
問合せ:役場総務課総務係
【電話】82-1231