文化 ふるさと歴史発見

■第一五〇回発掘調査速報 (1)安武地原(やすたけちはら)遺跡
広報ちくじょう5月号の「ふるさと歴史発見第一四八回」でお伝えしたとおり、町では昨年から今年度にかけて、築城ICより南にある育苗センター付近で二遺跡の調査を行いました。今回は、そのうちの一つ、安武地原遺跡をご紹介します。
本遺跡は築城ICの南端に近接しており、調査の結果、弥生時代中期〜後期の集落遺跡が確認されました。
発見された遺構は、竪穴建物十二軒、貯蔵穴三基、小児甕棺(しょうにかめかん)三基、溝五条、土坑多数です。
このうち三軒の住居と一基の貯蔵穴からは鉄製品が出土しており、国内最古級の鍛冶工房跡が発見された安武深田遺跡との関連性がうかがえます。また、石包丁や砥石も数多く出土しており、安武深田遺跡と同様に農耕を主体とする集落と考えられます。
写真(1)中、左下の黒ずみは旧河川と考えられる大溝跡です。川に近い位置に居を構えることで水利をよくしていたのかもしれません。周辺のトレンチ調査の結果、丹塗(にぬり)土器や浮文(ふもん)土器、匙形土製品など祭祀色の強い土器群がまとまって出土しています。
今回の発掘調査の成果については船迫窯跡公園で秋季企画展を開催予定です。詳細が決まり次第広報等でお知らせしますので、ぜひお越しください。
※写真については本紙をご覧ください。
(文化財保護係 矢野一喜)