くらし 唐ワンくんの唐津今昔物語155

◆「唐津の記念物」(36)
~唐津の史跡・名勝・天然記念物~

▽神集島(かしわじま)のハマユウ群生地(市指定天然記念物)
唐津の島々は、対馬暖流の影響を受け、年間の平均気温が15〜18℃と、県内でも比較的温暖で、暖地性の植物が多く見られます。神集島に自生するハマユウも本来は東アジアから南アジアにかけての温暖な地域に分布する植物です。
ハマユウは、水はけと日当たりが良い場所を好むヒガンバナ科の常緑多年草で、日本では房総半島南部と三浦半島、伊豆半島、渥美(あつみ)半島、紀伊半島、四国太平洋岸など黒潮・対馬海流に直面した沿岸部の砂丘に分布しています。これはハマユウの種子が東アジアから海上を漂い海岸に漂着したもので、神集島のハマユウもこの漂着地の一つといえます。ハマユウの茎部は白色の長い葉鞘(ようしょう)が厚く、互いに抱き合い、りん茎(けい)をつくったもので、葉の大きさは長さ70cm、幅8cmに達し、光沢があります。夏(6~7月)に葉の間から花茎(かけい)を高さ70cm程度まで伸ばし、その先端に多数の花を散形(さんけい)に咲かせ、しだいに下に垂れるようになります。日没前後から強い香りをただよわせます。
ハマユウは夏の海岸を彩る涼しげな花として知られ、柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)が和歌山県熊野のハマユウを詠んだ歌の一首が万葉集(まんようしゅう)(日本に現存する最古の和歌集)に載るほど古くから親しまれています。
神集島のハマユウは県内で数少ない群生地として、植物の生態学・分布学上貴重な資料とされています。

問合せ:生涯学習文化財課
【電話】72-9171