文化 多久市の指定文化財(4)

ー相浦(あいのうら)の球状閃緑岩(きゅうじょうせんりょくがん)ー [佐賀県天然記念物]
北多久町多久原四三六番地一

地下のマグマが冷え固まった深成岩(しんせいがん)の一種で自然がつくり出した岩石です。多久市では北多久町相の浦地区の北、飯盛(いいもり)山の山中に分布することで知られます。相浦の球状閃緑岩の成因や、岩石ができた時期については明確ではありませんが、『佐賀県の地質鉱物』では、時期を白亜紀(はくあき)後期(今から約1億4400万年~6500万年前)頃と紹介されています。
球状閃緑岩は、球状花崗岩(かこうがん)、球状斑糲岩(はんれいがん)とともに球顆岩(きゅうかがん)の構成にあたり、斜長石(しゃちょうせき)や角閃石(かくせんせき)などが同心球状に結晶化し、球粒状の構造がみられるのが特徴です。
相の浦のものは長径約5~18cm、短径約4~14cmの楕円形の球顆が表面に模様のようにみられ、地元では「カイガラ石」とも呼ばれます。全国的に発見例が少なく希少とされ、佐賀県では唯一であり、日本国内で7か所、世界に33か所ほどが知られます。そのうち有名なナポレオン岩はイタリアのコルシカ島でみられますが、こちらは球状斑糲岩と考えられています。(昭和46年指定)
(教育振興課)