くらし [特集]未来を耕す、わたしたちのまちの若手農家たち

恵まれた土壌や脊振山系の豊富な水資源など、豊かな自然に恵まれる神埼市では、地域の農業を支える若手農家たちが活躍しています。
本特集では、それぞれが就農を志したきっかけや、日々の作業での工夫、これからを見据えた新しい取組を紹介します。
私たちの暮らしを支える「農」の現場で、若い力がどのように挑戦を続けているのか。
地域の未来を耕す若手農家たちの思いを、ぜひ知ってください。

◆挑戦しやすい葉物栽培で目指す
・木本 慎悟さん(43)
妻の実家が農家だったこと、やり方次第でしっかり稼げる職業だと知ったことがきっかけで、事業主になりたい思いもあり30歳で農業の道へ進みました。修業先で学んだ雇用型農業を取り入れ、外国人実習生を雇いながら規模を拡大。ハウスは自治体の補助も活用して初年度19棟から徐々に増やし、現在は建設中のものも含め98棟になります。
葉物は栽培の回転率が良く、施設と収量を確保できればしっかり収益を上げられる作物です。神埼市では小松菜を大規模に生産している農家は少なく、農協との相談や品質管理の面でもやりやすさを感じています。
私自身、専門的な知識も何もない状態からのスタートだったこともあり、挑戦しやすい農業のあり方を伝えていければと考えています。興味がある方は、私の農場で経験を積むこともできますし、それが農業を始めるきっかけの一つになればうれしいです。

新たな挑戦のステージとしてとても魅力のある職業です!

◆多品目栽培で販路を広げて安定経営へ
・緒方 聖久さん(39)
観光農園でトウモロコシを収穫する子どもたちの「おいしい!」「楽しいね!」という笑顔。その顔が見たくて、農業をしています。収穫体験を通じて、将来農家を志す人が一人でも増えたらと思い、笑顔の種をまく気持ちで日々作業に取り組んでいます。
観光農園を運営するには、経営の安定が欠かせません。
就農当初は小ネギ専業を考えていましたが、収量や価格が安定しない課題があり、キャベツや白菜、ブロッコリーなど多品目を栽培するようになりました。さらに収益を安定させるため、酒造会社と契約し、焼酎用のさつまいもの栽培にも挑戦中です。
福祉事業所と連携し、障がいのある方に作業をお願いしたり、インドネシアから来てくれている実習生と一緒に働いています。地域の方から「頑張ってるね」「いつも見ていますよ」と声をかけていただくこともあり、人とのつながりが大きな励みになっています。

来日して3年目のインドネシアの実習生たちも作業を支えてくれる心強い存在です!

◆若手が参入しやすい仕組みをつくりたい
・高嶋 裕一さん(34)
24歳のときに祖父母から農業を継ぎました。脊振の中山間地で、ピーマンをはじめ米、ブロッコリー、玉ねぎなどを栽培しています。高冷地ならではの寒暖差で育つピーマンは、肉厚で苦味が少なく、「子どもが嫌いだったけど、高嶋さんのピーマンなら食べてくれる」と言ってもらえるのが何よりのよろこびです。
土地の高低差により手間がかかるのが中山間地の課題ですが、福祉施設と連携して障がい者の方に剪定作業をお願いしたり、求人アプリで町外からアルバイトを呼ぶなど、若手農家同士で情報を共有しながら人材確保も工夫しています。
これからますます高齢化が進む中、若手の参入は欠かせません。農業に魅力を感じてもらうために、安定的な農業所得が得られる体系づくりを進めています。若手世代として、地域の農業をさらに次の世代へつないでいけるよう取り組んでいきたいです。

「生で食べても甘みが感じられる」
高冷地栽培のピーマンはツヤも自慢!