くらし 【特集】長崎県の農業~生産性の高い農業を推進しています~(2)

■スマート農業の推進による効率化
県では、ICT(情報通信技術)やドローンなどの先端技術を活用した「スマート農業」を推進し、農作業の自動化・省力化を図っています。

◆環境制御技術でハウス内の環境を最適に!
環境制御技術とは、ハウス内の温度やCO2濃度などを数値で確認しながら機器を活用し、作物の生育に最適な状況に近づける技術のことです。冬場はハウス内を閉め切ることが多く、作物の光合成に必要なCO2が不足することがあるため、ICTを活用してCO2を最適な濃度に管理することで、作物の成長を促し、増収につなげます。
県では、スマートフォンでハウス内のCO2発生装置や暖房機などの装置を制御できる安価な「長崎型統合環境制御装置」の導入を進めています。

環境制御技術を導入したいちご農家の収穫量

▽導入したいちご農家の声
長崎型統合環境制御装置を導入した年に収穫量が大幅に増加して、衝撃を受けました。温度などの生育環境情報がスマートフォンで一目で分かるので、どこにいてもハウス内の状態に合わせて環境を制御できるようになりました。いちごの生育が目に見えて変化し、いちご作りがさらに楽しくなりました。

◆ドローンの活用で農薬散布を快適に!
じゃがいもなどの露地野菜での従来の農薬散布は、重いホースを引きながら、長い時間をかけて広大な農地を歩いて散布するため、大変な農作業の一つでした。
ドローンを活用することで、作業者は定位置での操作で散布作業ができ、身体的負担と作業時間を削減できるほか、一定以上の距離を保つこともでき、安全に作業を行うことができます。

農薬散布1回あたりの所要時間の違い

▽導入したじゃがいも農家の声
近年、猛暑や大雨が頻発するなど気象条件が厳しく、作業が負担となっていましたが、ドローンを活用した農薬散布により、これまでよりも短時間で楽に作業を行うことが可能となりました。他の地区でもドローンの活用が広がり、じゃがいもの生産量の向上につながっていくことを期待しています。

■スマート技術の導入支援
スマート農業を推進するため、県ではさまざまな支援を行っています。

◇研修
環境データを活用し、栽培管理の最適化に取り組む生産者の技術向上に向け、勉強会や現地検討会を実施しています。また、生産者が少ない離島では、本土の産地とオンラインでつないで研修会を行っています。

◇導入支援
ドローンや自動換気装置などのスマート農業機器の導入に係る費用を国や県で助成しています。
助成の例:ながさき農業デジタル化促進事業(事業実施主体…農業者が組織する団体など 補助率…1/3以内)

◇技術の実証
スマート技術を生産現場へ普及させるため、さまざまな実証試験を実施しています。
実証試験の例:
果樹園でのドローンを活用した効果的な薬剤散布技術の実証試験
牛の運動量を遠隔監視して、見た目では把握できない子牛の異常を早期発見する実証試験

■長崎県の農業のこれから
農地の基盤整備やスマート技術の活用により、農業産出額は増加しており、新規自営就農者も増加傾向で推移しています。また、就農1~2年目でも高い収量をあげている若手生産者もおり、経験が少ない生産者でもスマート技術の活用などによる効率化を通して、増収を図ることができる産業となっています。

農業産出額の推移

農業従事者と新規自営就農者の推移

長崎県新規就農相談センターでは、農業を始めるにあたってのアドバイスやサポートをしとるばい!農業を始めたい方はまずはセンターに相談を!

少子高齢化により県内の農業従事者数の減少が進む中、本県の農業産出額は増加傾向にあり、地域を支える重要な産業となっています。今後も、農地の基盤整備やスマート農業の推進を通じて、農作業の効率化・省力化を図り、生産性の高い産地の育成と所得の向上に取り組むとともに、地域の特徴を生かした多くの農産物の生産を支援していきます。県民の皆さんも県産の農産物を食べて、農家の皆さんを応援しましょう!
長崎県知事 大石賢吾

問合せ:県の農政課
【電話】095-895-2913
広報テレビ番組「みジカなナガサキ」(民放3局)でも今回の特集を2月に放送します。ぜひご覧ください。