くらし 【特集】長崎県の農業~生産性の高い農業を推進しています~(1)

長崎県は、離島・半島や中山間地域が多く、地域の特性を生かしたさまざまな農業が展開されています。びわ、じゃがいも、いちご、みかん、肉用牛など、全国に誇れる品目が多数あり、農業産出額も増加傾向にあるなど、地域を支える重要な産業となっています。
一方で、県内の農業従事者数は減少傾向にあり、県では農業の持続的発展を図るため、新規就農者の確保のほか、農地の基盤整備やスマート農業の展開などによる生産性の向上や経営規模の拡大、コストの縮減などを進め、生産性の高い農業産地の育成を推進しています。

・主な農産物の産出額(令和5年)

・地域の特性を生かした多様な産地
※詳しくは本紙をご覧ください。

■農地の基盤整備による効率化
県では、農地の基盤整備を推進することで、農業の生産性向上や農作業の効率化を図っています。

◆農地の基盤整備とは
小さな田畑を大きくまとめ、農作業を効率的に行えるようにするほか、農道や水路などを整備し、必要な時に安定的に水を供給できるようにするなど、農作業が行いやすい農業生産環境を整えることです。
また、基盤整備と併せて、これからの地域農業を担う「担い手農家」へ農地を集めることで、地域農業の持続的発展を図っています。

◆基盤整備によるメリット
(1)大型機械の導入
これまで手作業や小さな機械で作業していた農地にも大型機械を導入することができるようになり、農作業の省力化・効率化を図ることができます。
(2)安定的な用水の確保
農地に設置したバルブをひねるだけで散水が可能となるため、天候に左右されることなく、安定して用水を供給することができます。
(3)新たな品目への転換
農作業の省力化や用水の安定供給が可能となることで、これまで栽培が難しかった高収益作物などへの転換が可能となります。

◆事例紹介
▽山田原(やまだばる)地区(雲仙市)
令和3年度までの基盤整備によって、ブロッコリーなどの高収益作物への品目転換が進み、販路拡大にも取り組んだことで、販売額が大幅に増加しています。
また、若い就農者や後継者の増加に伴い、地域の子どもが増え、隣接する小学校の児童数が増加するなどの効果も表れています。

山田原地域の整備面積とブロッコリー販売額の推移

山田原地域に隣接する大塚小学校の児童数の推移

▽針陽(しんよう)地区(佐世保市)
整備前は、干ばつ時に用水不足が発生しており、井戸からのくみ取りなどに多大な労力がかかっていました。基盤整備によって用水の確保に係る労力が軽減されたほか、用水や液体肥料を効率的に供給できるようになり、作物の品質・収量の安定化につながっています。

基盤整備による作業時間の変化