しごと つたエールけん

■宝亀かまぼこ店 (平戸市)
新商品開発担当 宝亀 綾美(ほうき あやみ)さん

◇川内(かわち)かまぼこで食文化を後世に
「すぼ」と呼ばれる細いストローで巻かれた「川内かまぼこ」は、平戸が誇る伝統食です。宝亀かまぼこ店は1955年に創業。伝統の川内かまぼこを次世代に引き継ぐとともに、平戸の魅力を多くの人に伝えるため、2代目の娘である宝亀綾美さんが商品開発、製造・販売に取り組んでいます。

漁師だった祖父が川内湾で採れたエソなどで、祖母とかまぼこを作ったのが当店の始まりです。2代目の両親がすり身の天ぷらを始め、作業量が増えたため、「一緒に看板を守りたい」と12年前に県外からUターンしました。
昔ながらの石臼ですり身に加工し、その日の気温や湿度、さらに調味料や水の量によって、できあがりの固さが変わります。すりつぶす際の摩擦熱を一定に保つため、氷を入れながら温度を調整するなど、すり身という「生き物」を相手に高い技術力が求められる仕事です。
長崎デザインアワード2024(※)の金賞、令和6年度長崎県特産品新作展のながさき手みやげ大賞を受賞した「長崎平戸宝亀かまぼこ(レトルトかまぼこ)」は、従来のかまぼこは温度管理と賞味期限がネックとなりお土産として持ち帰りにくかったことと、海上自衛隊員の方から「乗艦中にも地元のかまぼこが食べられるようになったらよかね」と言われたことからヒントを得て、約8年間の試行錯誤を重ね、レトルト加工により長期保存ができる商品として誕生しました。パッケージには手に取った人に「行ってみたい」「平戸を思い出す」と感じてもらえるよう、平戸の風景や観光地を盛り込んだ地図をイラストであしらいました。
私が生まれ育った平戸は海や山の幸が豊富で質も高い「食の宝庫」です。今後はかまぼこと地元の食材のコラボレーションを増やしたり、海外に販路を広げたりして、多くの人に平戸の魅力を伝えたいです。そして、かまぼこを通して魚の食文化を次世代に引き継ぐのが使命だと思っています。
※県内で企画、開発されている商品から優れたデザインを選定する取り組み