- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県
- 広報紙名 : つたえる県ながさき 第115号(令和7年11月号)
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◆株式会社 美泉(びせん)(諫早市)
代表取締役
井上 孝輔(いのうえ こうすけ)さん
◇フラットシーマーの縫製技術を生かし人にも動物にも喜ばれる製品を作り続けたい
平面縫製ができる特殊なミシン「フラットシーマー」を使った水着関連商品をはじめ、ベビー服やドッグウェアも手がける縫製会社「美泉」。ミシンの整備のみならず、分解や修理も行っており、さらにはパーツも自社で作成。顧客の要望に応える商品を作り続けています。
佐賀県出身で、東京の鋼材屋で働いていた父が、脱サラをして親戚の縁があった小長井町で1982年に創業した縫製会社です。近辺に縫製会社が多かったことや縫製の工程が鋼材屋に似ていると親しみを感じたことが起業のきっかけだったそうです。私は2019年に代表に就任しました。
当社は、4本の針と6本の糸を使い2枚の生地を縫い合わせ、凹凸が少ない縫い目が特徴のミシン「フラットシーマー」を使った縫製を得意としています。2001年頃、大手スポーツメーカーからスイムキャップの縫製依頼がありフラットシーマーを導入しました。生地の厚さや硬さ、伸びやすさなどに合わせて調整が必要な手間のかかるミシンですが、縫製だけでなく、ミシンの整備から修理まで一貫してできるよう研究を重ねたことで、当社の強みになりました。現在は14台保有し、水着関連商品や布マスク、下着などを縫製しています。
2009年、リーマンショックで売上が落ちた時、自社の設備や資材ルートを生かした新しい製品を作りたいと考え、あかちゃん肌着専門店「マルマイユ」が誕生しました。「新生児用短肌着 オーガニックコットン100%」は、長崎デザインアワード※2012で大賞を受賞。その肌着を英王室のジョージ王子に贈ったところ、お礼の手紙が届き全国的にも注目されました。
数年前、県内の犬猫殺処分の多さを知って縫製の力で貢献したいと思い、ドッグウェアブランド「PIF(ピフ)」を立ち上げ、製品売上の3%を保護団体に寄付しています。ドッグウェアを制作するなかで「飼い犬の体格に合う服が分からない」との声を聞き、犬種ごとにサイズを展開し、4本足を通すロンパース型ウェア「スキンフィット」は、長崎デザインアワード2024で選定委員会特別賞を受賞しました。また、今年4月には地域の方のつながりも増えて欲しいという思いでドッグランと直売店を開業しました。
今後も当社の技術を生かしてベビー服やドッグウェアをはじめとする犬用商品などの製造を続けていきたいと思っています。
※県内で企画、開発されている商品から優れたデザインを選定する取り組み
