文化 歴史と文化のこぼれ話-学芸員のとっておき!-

■今月のテーマ
恐竜博物館の展示秘話
~巨大壁画編~

ベネックス恐竜博物館の展示室「恐竜の時代」にある巨大壁画は、今から約8千万年前の長崎市を復元したものです。サイエンスイラストレーターと複数の研究者が携わり、1年以上かけて完成しました。壁画の大きさを体感することはもちろん、動植物の配置や河川の透明度まで事細かに描かれているので、じっくりと見てみてください。
講演会などで復元画の話をした際に、「タイムマシンもないのになぜ復元できるのか」と聞かれることがあります。実は、化石や地層からは恐竜の生態や行動、その地域の気候条件などの細かな情報を探ることができます。例えば、歯の形を観察することで食べていた物が、骨の中の構造を調べると陸生か水生かというような生息環境が分かります。地層からは、産出年代を始め、当時その場所が海だったのか陸だったのか、陸だった場合は川の流れまで分かることがあります。何気なく展示している復元画も、こうした知識の結晶でできています。

恐竜が世界で最初に発見・発表されたのは、約2百年前。当初は、トカゲに似た姿で復元され、比較的のろまな生物と考えられていました。しかし現在では、うろこだけでなく羽毛が生えた鳥類を重視した姿で復元され、活発な生物だったと考えられています。このように、恐竜の姿は科学の発展と共に大きく変化してきました。こうした恐竜の復元の変遷を学べる企画展「恐竜の姿はこう変わった!」を5月18日(日)まで開催しています。科学の歴史を学びにぜひお越しください。

恐竜博物館学芸員 小平