くらし 海を越え、心つながる 姉妹都市・市民友好都市(1)

古くから、海外との窓口として世界との交流を深めてきた長崎。異国情緒あふれるまち並みや、モノ・コトの伝来を示す碑など、海外との交流の証が今も市内各地に残っています。昭和30年には日本で初めて、アメリカのセントポール市と「姉妹都市」として交流を深める提携を結びました。その後、全国に「姉妹都市」などの、都市間で提携を結ぶ動きが広がっていきました。現在、長崎市では8カ国9都市と「姉妹都市」「市民友好都市」として提携を結び、交流を深めています。
今回の特集では、そのような「姉妹都市」や「市民友好都市」とのつながりや交流の様子を紹介します。

■姉妹都市って?
互いの地域の発展や国際的な親善を目的に、さらなる交流を深めるために、ゆかりのある都市同士で対等な関係で連携を結んだ都市のことです。
長崎市は、6都市と提携を結んでいます。

●アメリカ・セントポール市
アメリカ中西部にあるまち。長崎を訪れたことがあるセントポール市民が、原爆で被害を受けた長崎を悲しみ、「市民同士の友情が深まれば、平和な世界を築くことができる」と考え、日本国連協会に働きかけたことがきっかけで、1955年に提携を結びました。

▽長崎のセントポール通り
平野町の平和会館へ通じる道路は「セントポール通り」と名付けられています。セントポール市にも「長崎道路」と名付けられた道路があります。

●ポルトガル・ポルト市
出島に向かったポルトガル船の母港があるまち。長崎はポルトガルとの南蛮貿易で栄え、かつての築町には多くのポルトガル人が居住していました。このような長崎との歴史的なつながりがあったことから、1978年に提携を結びました。

▽築町にある幸運を呼ぶ鶏
築町商店会が設置した「ガロ」のオブジェが旧県庁坂沿いにあります。「ガロ」はポルトガルで奇跡と幸運をもたらすと言われています。ぜひ訪れてみては。

●ブラジル・サントス市
長崎と同時期に貿易港として開かれたまち。1908年、長崎市出身者を含む移民781人を乗せ、日本からブラジルへ向かった笠戸丸が寄港した港町でもあります。長崎市出身の移住者らからの申し入れがきっかけで、1972年に提携を結びました。

▽長崎の路面電車がサントスに
2014年まで長崎のまちを走っていた路面電車が、今ではサントス市の観光列車として第二の人生を歩んでいます。行き先表示もそのままで、不思議な光景です。

●中国・福州市
中国東南部にあるまち。中国から長崎に移り住んで、新地中華街を形成した「長崎華僑」の多くが福州市の出身です。中日友好の船「明華号」が長崎へ来航したことをきっかけに、1980年に提携を結びました。

▽福州市の伝統芸能を披露
中国の旧正月を祝うランタンフェスティバル。今年2月のイベントでは、福州市の訪問団が長崎市を訪れ、伝統芸能の「びん劇」を披露しました。

●フランス・ヴォスロール村
外海地区の人々を救済するため、私財を投げ打って社会福祉事業に貢献したド・ロ神父の出身地です。ド・ロ神父研究者がヴォスロール村を訪問したことをきっかけに、1978年に提携を結びました。

▽外海を救ったド・ロさまそうめん
フランス人宣教師のド・ロ神父は、村民の貧しい生活を向上させるために素麺づくりの技術を伝え、まちを救いました。少し太めでコシが強いのが特徴です。

●オランダ・ライデン市
日本における西洋医学の基礎を築いたシーボルトが長崎を離れた後、日本の研究を行った地です。出島を復元・整備する事業などで、行政や大学間などとのさまざまな交流が深まっていたことから、2017年に提携を結びました。

▽博物館同士で姉妹館提携
ライデン市にある世界屈指の博物館「ナチュラリス生物多様性センター」と長崎市の「ベネックス長崎恐竜博物館」は2025年4月に姉妹館の協定を提携しました。

■市民友好都市って?
姉妹都市提携などの形式にとらわれず、市民や民間団体が主体となって自由に交流できるよう、都市同士で意思確認をした都市のことです。
長崎市は、3都市と提携を結んでいます。

●イギリス・アバディーン市
日本の近代化に大きく貢献したトーマス・グラバーが幼少期を過ごしたまちです。両市の市民が主体となって学生の相互派遣を行うなど、交流が盛んに行われていることから、2010年に提携を結びました。

▽長崎タータンって ?
スコットランドラグビー協会から、長崎をイメージしたチェック柄「長崎タータン」のデザインの寄贈を受けたもの。グラバー園の装飾などに活用しています。

●中国・中山市
辛亥革命の指導者である孫文の出身地です。長崎市出身の梅屋庄吉が孫文を支援するなどの歴史的なつながりがあったことから、両市の友情を深め、交流を促進するために、2011年に提携を結びました。

▽孫文と梅屋庄吉を知るなら
旧香港上海銀行長崎支店記念館の2階には、孫文・梅屋庄吉ミュージアムがあります。2人の国境を越えた友情の物語をパネルなどで紹介しています。

●ドイツ・ヴュルツブルク市
出島の商館医シーボルトの生誕地であり、大学卒業まで暮らしたまちです。両市の大学同士での交換留学生の派遣や市民同士の交流が盛んに行われていることから、2013年に提携を結びました。

▽妻お滝への愛の証、オタクサ
シーボルトはお滝への愛を込めて、あじさいに「Hydrangea Oaksa(ハイドランゼア オタクサ)」という学名を付けました。しかし、先に別の学名が付けられていて、正式な登録には至りませんでした。

問合せ:国際課
(【電話】829・1113)