- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県島原市
- 広報紙名 : 広報しまばら 令和7年3月号
近年、社会問題として取り上げられることが多い「ヤングケアラー」。
日常的にケアを行い、家庭を支えなければならない子どもたちの背景には何があるのでしょうか。
特集は、ケアラーの問題について考えるとともに、
市内の中学生が制作したケアラー応援サイトと48歳からケアラーとなった女性のインタビューをご紹介します。
■ヤングケアラーとは何か
一般に、本来大人が担うと想定される家事や家族の世話などを日常的にしている子どもとされています。
ヤングケアラーはさまざまな形で存在するとされ、ケアの内容・相手・負担の程度は、子どもや家庭の状況によって異なります。
■問題の背景には
近年、この問題が広く注目を集めるようになった背景として、共働き世帯が一般化してきたことなどが挙げられます。高度経済成長期の頃のようなメインとなる働き手がいて、家事に専念する大人がいて…という時代から経済の状況が変わり、より多くの人が働きに出るようになりました。核家族化も進み、家庭にかける時間が少なくなる中で、働いている親の代わりに子どもが家の中のことをやるというのが、人手の足りていない家庭ほど顕著になってきました。
■なぜ問題なのか
子どもが家事をお手伝いしたり、家族の世話をすることは、責任感や社会性、生活力を身につけるうえで大切なことです。
しかし、それが子どもにとって重い負担となっている場合、ヤングケアラーとしての問題が浮かびあがってきます。
ケアラーという問題は表面化しづらく、見ようとしなければ見えてこない問題です。
「本人がどう思っているか、何を求めているか」を理解すること、本人の気持ちを尊重しながら、孤立しないように見守り方を考えることが大切です。
支援の方法に一つの正解はありませんが、地域全体で少しでも意識を変えることができたら、安心できる誰かが増えるかもしれません。
■今悩んでいる子どもたちへ
あなたを支えたいと思っている大人は、必ず周りにいます。
つらいときや困ったときは、ためらわずに誰かに話してみませんか。子どもの時間は、子どもだけのもの。あなたのかけがえのない時間を、あなたのために使ってください。
長崎県は、令和5年4月、長崎県ケアラー支援条例を全国で4番目に施行しました。
ケアラー全般の問題については、県をはじめ、本市でも島原市地域包括支援センターを中心に取り組みを進めています。
■支援の充実へ市内中学生がケアラー応援サイト制作
市内の中学生6人がボランティアでケアラーを応援するサイト「思縁」を制作し、完成しました。
サイト「思縁(しえん)」は、ケアラーかどうかをチェックできるもの、ケアラーの負担が大きくなっていないかチェックできるもの、そして困りごと別に相談窓口をチェックできるものの3つの機能があります。
《ヤングケアラーの問題とは》
○進学や就職に影響する
家事などを担うことが過度の負担となっている場合、勉強時間が十分に取れなくなる可能性があり、進学など、その後の人生への影響が懸念される。
○自覚がない
子どもは自分の家庭しか知らずに育つことが多く、客観的な視点を持ちにくい。負担を抱えている現在の自分の状況が当たり前だと感じてしまう場合がある。
○家庭の問題は気づきにくい
家族が病気や障害を抱えていることを知らせたくないと感じ、秘密にする場合や、大切な家族なので自分がケアしたいという想いから、誰にも頼らずに頑張ろうとする子どももいる。
○相談できず孤立しがち
家族以外の大人に相談する経験が少なかったり、または信頼できる大人が周りにいないこともあるため、悩みを一人で抱えて周りから孤立しやすい。
■抱えている不安や心配ごとを聞かせてください
抱えている困りごとを市の相談支援員が一緒に考え、寄り添いながら自立に向けた支援を行います。
相談内容:不安や心配/生活に困っている/仕事が見つからない/社会に出るのが不安/健康に不安/家計を改善したい/ひきこもっている
問合せ先:市役所 福祉課
【電話】62-8025(受付日時:月~金曜 8時30分~17時15分)
■「ひきこもり」のことに関する相談は
「ひきこもり」は誰にでも起こり得ることです。「ひきこもり」に関する相談窓口を設置しているので、身近に悩んでいる人がいたら教えてあげてください。ご家族の相談もお待ちしています。
うまく話せなくても大丈夫です。どなたでもお気軽に相談してください。
問合せ先:
・市役所 福祉課【電話】62-8025(受付日時:月~金曜 8時30分~17時15分)
・長崎県ひきこもり地域支援センター【電話】62-3289(受付日時:月~金曜 9時~17時45分)(県南保健所内)