- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県五島市
- 広報紙名 : 広報ごとう 2025年3月号
■五島市に暮らすいろんな人のオススメ本を紹介するコーナー
私が選ぶとっておきの一冊ーRecommended Bookー
▼14冊目
Blue Goto Cafe アンジェロ・デ・ローザ
イタリア・カラブリア州出身、大学で日本のことを学び、興味を持ったことから、卒業後日本のイタリア語学校に就職しました。その後は、独立してイタリア語文化教室を運営。語学だけでなくコンサート等の各種イベントを企画し、開催していました。そんな中、自分が時間や仕事に支配されていないかと疑問を抱き、日本全国の色んな島を旅した中で一番大好きだった五島への移住を決めました。
移住してきたばかりの私と家族を温かく受け入れてくれた五島の方たちとの交流を広げたい、大好きな音楽で楽しい時間を共有したいという思いから、店内で演奏もできるカフェをオープンしました。来てくれた方たちの交流の輪が広がる、そんなお店になるよう頑張っていきます。
○アンジェロさんのとっておき
この本と出会ったのは、11才の時。イタリアの教育制度では小学校は5年間なので、中学1年生のころに教科書として読んだ本です。人間はこんなにも残酷になれるものなのかと衝撃を受けました。決して明るい内容の本ではありませんが、間違いなく私の人生に大きな影響を与えた本です。トリガーは誰もが持っていて、状況が許せば引かれうる、そのことを知ってほしいと思います。
○これが人間か アウシュヴィッツは終わらない
プリーモ・レーヴィ/著(朝日新聞出版)
受け入れるのが難しい事実ですが、特定の状況下では人は誰でも、想像を絶する残虐行為を行う可能性があります。ナチスのアウシュヴィッツ強制収容所から生き残ったユダヤ系イタリア人のプリーモ・レーヴィは「これが人間か(イタリア語で“Se questo è un uomo”、英語で“If This Is a Man”)」という本を著しました。この回想録は、強制収容所での1年間の劇的な物語であるだけでなく、人間社会の深い人類学的、社会学的、心理学的分析でもあり、上述しましたが、私の人生に大きな影響を与えました。プリーモ・レーヴィは本来作家ではなく化学者でしたが、極めて崇高な筆致で描写されており、日本語を含め40以上の言語に翻訳・出版されています。
こちらの本は市立図書館では借りられません。