くらし 特集 魅力的な”しま”になるために 五島市高校生議会(1)

7月29日、市役所3階議場で五島市高校生議会を開催し、市内の高校生18人が議員として参加。五島市に暮らす高校生として、市政に対する率直な思いなどを発表・質問し、市長や市幹部職員と議論を交わしました。

■意見表明(要旨)
▼若者が働きたくなる魅力的な“しま”になるための意見表明
意見表明を述べる奈留高校の山口嵩紘(やまぐちたかひろ)さん

私たちが住んでいる五島市は、豊かな自然、価値のある文化や歴史、おいしい食事、人との暖かなつながりなどがあるとても魅力的な島です。しかし、「希望する職種がない」、「余暇の過ごし方の選択肢が少ない」などの理由で五島市を離れる若者も多く、人口流出、減少が問題となっています。そこで、私たちは、若者が働きたくなる魅力的な“しま”になるためにどうすればいいのか、考えてみました。

1 魅力的な仕事の提供や半導体産業への注目
1 廃校を活用した農業や漁業を学べる学校の設立
1 レジャー施設の充実による余暇の過ごし方の多様化
1 子育てがしやすく、安全・安心に暮らせる環境整備
1 市内に住む若者に対する市外へのアクセス支援制度の創設
1 島暮らしを体験するプログラムの常設化など、“しま”の魅力の発信や魅力体験の機会を増やす

私たちは現在、五島市の魅力を探求し、その魅力をさらに活かすための様々なアイデアを出したり、発信したりする活動を行っています。この活動を通じて五島市について学び、若者が働きたくなるような魅力的な“しま”となることに貢献することを約束して、意見表明といたします。

令和7年7月29日 五島市高校生議会

■市政一般質問(抜粋)
▼五島高校
○山下道希(やましたみき)さん
五島の観光業について、冬の観光客を増やすためにどのような取組をしているか。

答:五島市では冬の閑散期に様々な取組を行っている。その一つが「椿まつり」で、「グルメフェス」や「つばきマラソン」等色々なイベントを楽しめるものとなっている。
さらに、冬でも気軽に五島に来てもらえるように、チャーター機を使ったツアーを提供している。
また、五島の特産品をPRし、五島フェアや商談会を通じて魅力を発信しており、これらの取組が五島の冬の魅力を知り、訪れるきっかけとなることを期待している。
課題や成果を検証し、今後も自然や食材、伝統行事を活用した取組を推進していきたい。

○鎌田瑞葵(かまたみずき)さん
空き家バンクの登録物件数および成約件数が伸び悩む原因と今後の改善策について聞きたい。

答:空き家バンク登録を増やし、住まい探しの支援を強化する取組を行っているが、お墓参りなどの帰省時滞在や仏壇の存在、家財の処分などにより空き家バンクの登録に至らないケースが多い状況。
リフォームおよび家財処分費用を補助する制度を導入し、登録負担を軽減したが、整理や手続きの煩雑さ、自己資金が必要となるなどの理由から登録をためらう所有者が多い。
市としては、制度の周知と空き家早期活用の重要性を所有者に発信していきたい。

▼鶴南特別支援学校五島分校
○田端直大(たばたなおひろ)さん
五島の魅力をもっと多くの人に伝えるために、どのような取組を企画しているか、また五島以外から発信する場所や機会はあるか。

答:五島市の魅力を知ってもらうため、ホームページやSNSを通じた観光情報や移住情報の発信、新たな移住サイトを立ち上げるなど、広く情報を提供している。
また、五島フェアや移住相談会を都市部で開催し、テレビや映画のロケ地誘致に力を入れて認知度向上を図っている。
それだけでなく、SNS上で五島の魅力を発信したり、地元出身の方がYouTubeで五島市を紹介するなど、五島市外の方も五島の魅力を広めてくれている。
これからも五島の魅力を知ってもらうため、新鮮な情報を発信し続けていきたい。

○中里幸斗(なかざとゆきと)さん
移住者がより定住しやすくなるための制度や補助にはどのようなものがあるか。

答:五島市では、移住者への支援として5つの補助制度を設けている。具体的には、移住希望者の旅費を助成する「移住希望者定住支援補助金」、子育て世帯の引っ越し費用を助成する「子育て世帯等移住促進事業補助金」、就労者の奨学金返済を助成する「ばらかもん奨学助成金」、空き家のリフォーム費用を助成する「空き家活用促進事業補助金」、東京圏からの移住者に支援金を交付する「移住支援金」がある。さらに、家賃無料の短期滞在住宅を提供するほか、空き家情報の提供や移住相談窓口の設置、相談会やセミナーの開催なども行っている。

▼五島南高校
○筒井悠月(つついゆつき)さん
五島市は、高齢者や子育てに対する支援は手厚いが、市として中高生の若者が楽しめる場所の提供についてどのような考えを持っているか。

答:五島市には都市部にある娯楽施設が少なく、中高生の皆さんが憧れを抱く気持ちは分かる。しかし、施設建設や維持には多額の費用が必要であり、収益確保が難しいと考えられる。一方、五島は自然豊かな魅力があり、創意工夫次第では様々な楽しみ方ができる。
テレビや映画で五島が注目され、観光客も五島独自の魅力を求めて訪れている。五島在住者は魅力に気づきにくいが、若者には独自の楽しみ方を見つけて発信してもらいたいと考えている。

○田口実(たぐちみのる)さん
物価高騰のあおりを受け個人商店の経営は厳しいと聞いている。このような個人商店への支援策はあるか。

答:個人経営の商店や会社など、いわゆる中小企業者への支援制度として、金融機関の協力により低金利で融資を受けられる「五島市中小企業振興資金融資制度」がある。
また、国の補助制度である「小規模事業者持続化補助金」で生産性向上を支援し、市の補助制度である「雇用機会拡充事業補助金」で雇用拡大を支援している。
さらに、物価高騰の中で市民を支援し、経済活性化を図るため「五島市つばき商品券」を販売する。1万円で1万5千円分の商品券を購入でき、1人2セットまで購入可能。この取組は市民支援だけでなく、市内事業者の売上拡大も目指すものである。