子育て 特集 令和遣欧少年使節海外派遣事業~400年前、少年使節団が辿ったイタリアの地へ~

■天正遣欧少年使節ゆかりの地へ
令和6年10月17〜26日までの10日間、松本教育長を令和遣欧少年使節団長として4人の中学生をイタリアへ派遣しました。
これは、1582年にキリシタン大名の名代としてローマを目指し、ヨーロッパへ渡った天正遣欧少年使節の偉大な功績を顕彰すると共に、歴史を通して郷土に誇りを持つグローバルな人材育成を目的に中学生を派遣しており、今回5年ぶりに再開しました。
また、今回の派遣では、有馬のセミナリヨ授業再現事業を実施しているNPO法人ありま南蛮からも4人が同行し、民間交流の第一歩を踏み出しました。

▽ローマ・バチカン市国
天正遣欧少年使節が訪れた場所を中心にローマ市内とバチカン市国を視察。当時の建物もそのまま残っており、少年使節と時を超えて同じ建物や天井画を見学していた中学生は「まるでタイムスリップしたような感覚になる」と話していました。

▽ローマ教皇謁見
当時の少年たちと同じ裃・袴でバチカン市国内にある、サン・ピエトロ大聖堂前の広場で謁見に臨みました。派遣団員には特別席が準備されており、最前列でローマ教皇と言葉を交わしたり、握手をするなど、貴重な経験をしました。

■友好都市キエーティ市との交流
▽キエーティ市訪問
キエーティ市を表敬訪問し、副市長と今後の交流について意見交換を行いました。また今後の交流をより一層活発化させるため、両市の教育機関等と文化交流事業の提携協定書を締結しました。

▽市内の学校へ通学
ホームステイ期間中、中学生たちは、市内にある中学校と高校へ通学しました。クラスメイトに歓迎され、英語の授業を受けたり、給食を食べたりして楽しみながらイタリアの学校生活を体験しました。

▽ホストファミリーとの交流
中学生4人は、キエーティ市内などのホストファミリーの家庭で4泊5日のホームステイを体験しました。片言の英語やイタリア語でコミュニケーションを取りながら過ごし、最終日には、ホストファミリーと生徒たちは、抱き合って別れを惜しみました。帰国後もSNSなどで連絡を取り合い、交流が続いているそうです。

▽にっぽんアブルッツオ協会との交流会
アブルッツォ州で日本の文化や風習などに触れ、交流を行っているにっぽんアブルッツオ協会主催の交流会が開催されました。会長のクラウディオ・カニーリア氏には、キエーティ市内のヴァリニャーノに関係する施設や学校などを案内していただきました。
その中で、ヴァリニャーノの子孫が住むヴァリニャーニ家を訪問し、交流を深めました。

■イタリア派遣中学生
※派遣された中学生の感想文を市ホームページに掲載しています。ぜひご覧ください。

▽植松尚子(うえまつなおこ)さん
(南有馬中学校3年)
イタリアでは、多様性を認め合い、自己表現を大切にする文化に感動しました。南島原と似ている点もあり、「挨拶や近所との交流」が共通していました。ローマでは「裃袴」を着てサンピエトロ広場でローマ教皇の謁見に臨み、イタリア語で「光栄です」と伝えました。一瞬のことでしたが、普通ではできない貴重な経験をすることができ、一生の宝物になりました。心配性な私も「自分はいろんなことができる!」という自信にもつながりました。

▽溝田悠乃(みぞたゆうの)さん
(北有馬中学校3年)
キエーティ市では中学・高校を訪問し、イタリアの学校生活を体験しました。クラスの生徒たちは私を温かく迎え、質問や通訳、食堂や街の紹介など、明るく親切に接してくれました。また、中学・高校や地域の空手クラブで空手の形を演武させていただき、幼い頃からの夢を叶えられて幸せな時間を過ごしました。さらに、ローマ教皇謁見ではイタリア語で「日本から来ました」と伝えることができました。イタリアでの経験を通じて得たものは非常に大きく、将来に活かしていきたいと強く感じました。

▽瀬川美空(せがわみく)さん
(西有家中学校2年)
ホストファミリーは14歳の双子と12歳の子供3人の5人家族で、初日は駅で手作りの歓迎ボードと笑顔で温かく迎えてもらいました。その後、町を散歩し、本場のジェラートを楽しみながら、美しい街並みに感動しました。この派遣事業を通じて現地の文化を学び、多くの人々と交流し、国を超えた貴重な経験を得ることができました。また、日本文化の素晴らしさや、南島原市が歴史的遺産の地であることを改めて実感し誇りに思います。

▽門畑華月(かどはたかづき)さん
(布津中学校3年)
キエーティ市では、歴史ある教会や劇場、博物館を訪れ、その美しい装飾や豊かな歴史に驚くばかりでした。また古い建物が現役で利用され、自然と調和した街並みは、歴史と現代が自然に共存する雰囲気に感動しました。ホストシスターのジャーダさんは「小さな町」と言いましたが、目を惹く魅力や文化が詰まった存在感のある町だと感じました。交流事業を通じて訪れた学校や出会った人々は明るく親切で、歴史を受け継ぎつつ街を整えてきた土地柄が、人や物を大切にする心に繋がっていると感じました。