- 発行日 :
- 自治体名 : 長崎県南島原市
- 広報紙名 : 広報南島原 令和7年6月号
水打場(みずうちば)遺跡では、3月まで馬場地区基盤整備事業に伴う発掘調査を実施してきました。そのなかの成果で、3月に発見されたばかりの最新の出土遺物を紹介します。
「石鏃(せきぞく)」というと難しい言い方になりますが、「やじり」といえばピンとくる人もいるでしょう。矢の先端に取り付ける石器で、遺跡から出土する遺物の中で最もポピュラーなもののひとつです。
そんな石鏃ですが、今回の調査で市内最大級のものが出土しました。石鏃は、主に縄文時代に使われていましたが、今回発掘された巨大な石鏃は、弥生時代の終わり頃(約1,800年前)のもので、竪穴住居(たてあなじゅうきょ)から出土しました。
サヌカイトという石材でできていて、先端が欠けていますが、残存部分だけで5.6cm、重量は8.5g、全体が残っていれば約7cmになるでしょう。試しに縄文時代の黒曜石製の石鏃(長さ2.8cm、重さ0.8g)と並べると、その大きさの違いがわかります。
この石鏃の巨大化現象は、弓矢で狙う対象が縄文時代には食糧獲得のための比較的小さな動物だったのが、弥生時代には戦争でのヒトへと変化したことを表していると考えられます。
弥生時代になると、コメ作りが始まり社会はだんだんと成熟していきましたが、いっぽうで集落間や集団間での争いも生みだしました。この巨大石鏃は、そうした弥生時代の暗い部分の象徴でもあるのです。
■6月~7月の小企画
日時:6月1日(日)~7月31日(木) ※休館日:火曜日 午前9時~午後5時
(入館は午後4時30分まで)
場所:深江埋蔵文化財・噴火災害資料館
料金:一般…200円/高校生…150円/中学生以下…無料
※団体割引あり
※企画展は入館料のみでご覧いただけます。
問合せ:文化財課(南有馬庁舎)
【電話】73-6705