文化 南島原の考古学

■粗製(そせい)土器と精製(せいせい)土器~権現脇(ごんげんわき)遺跡(深江町)~
縄文時代後期(約4,000年前)になると、文様がほとんどなく厚手で粗い作りの「粗製(そせい)土器」と、器面が磨かれ薄手で丁寧な作りの「精製(せいせい)土器」のふたつが作られるようになります。そして晩期(約3,000年前)には、この「粗製土器」と「精製土器」はそれぞれその特徴をさらに発展させ、両者の区分は明確化していきます。
粗製土器は、背の高い土器である深鉢に多く見られ、器面をならすために貝殻などで掻き取る作業が行われます。しかしそれをなで消すような作業はされず、粗い掻き取り跡は器面に残ったままで、あたかもシマシマの文様として楽しんでいるかのようです。
一方、背の低い土器である浅鉢に多く見られる精製土器は、器壁が極限まで薄くなり、光沢をもつくらいまでに磨かれます。また焼き上げの段階で真っ黒になるように特別な焼成方法がとられ、一見金属製かプラスチック製かと見まがうほどです。その土器製作技術は縄文時代のなかでも最高到達点に達しているといってもよいでしょう。
標高200m前後の雲仙普賢岳東麓に位置する権現脇遺跡は、比較的長く継続して人々が住み続けた、九州の縄文・弥生移行期を代表する稀有で重要な遺跡です。そのため、ひと時期の断片的な情報ではなく、出土した大量の土器から時期・年代を追って縄文土器が粗製土器と精製土器に二分化した過程をはっきりととらえることができます。
粗製と精製、これを見分けることができれば、あなたも立派な土器博士!

■8月~9月の小企画
日時:8月1日(金)~9月29日(月)
※休館日…火曜日
午前9時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
場所:深江埋蔵文化財・噴火災害資料館
料金:一般…200円/高校生…150円/中学生以下…無料
※団体割引あり
※企画展は入館料のみでご覧いただけます。

問合せ:文化財課(南有馬庁舎)
【電話】73-6705