くらし 【特集】いつまでも笑顔で暮らすために~認知症との付き合い方~(2)

■認知症を予防する
市で行っている認知症予防活動を紹介。また、耳の聞こえと認知症との関係性について専門家に話を聞きました。

早期発見・治療が大切!聞こえることが認知症予防に
豊永耳鼻咽喉科医院長 友永 和宏(ともなが かずひろ)先生

◇ヒアリングフレイル(※)が認知症につながる
ヒアリングフレイルとは、耳の聞こえが悪くなることです。これは若い人から高齢の人までさまざまな原因で起こります。
この耳の聞こえにくさは、認知症につながる可能性があるという研究報告があります。具体的には、聞こえが悪いと人とのコミュニケーションを避けがちになり、会話の機会が減少します。脳の認知機能維持には継続的な刺激が不可欠ですが、会話が減少すると脳への刺激が減るため、結果として認知症の進行を加速させてしまう恐れがあるのです。特に、夫婦だけで暮らしている高齢者や一人暮らしの高齢者は、会話の機会が減るため、難聴の進行に気付きにくく、認知症のリスクが高まる可能性があります。

※フレイル…心や体の活力が低下し、介護が必要な状態に陥りやすい弱ってきた状態。介護が必要になる手前。

◇子どもの頃に適切な治療を
難聴になりやすい人には、いくつか特徴があります。糖尿病や高血圧といった生活習慣病は、内耳や聴神経の血流を悪くするため、難聴が早く進行してしまうことがあります。また、鼻と耳はつながっているので、鼻の病気がある人も難聴になりやすいです。特にアレルギー性鼻炎が原因で起こる滲出性(しんしゅつせい)中耳炎(痛みのない中耳炎)は子どもの頃に適切に治療しないと大人になってから耳詰まり感や難聴の進行につながる可能性があります。子どもの頃から病院で適切に治療しましょう。

◇難聴のサインを見逃さない
難聴が進むと、いくつかの兆候が見られるようになります。
・聞き返すことが増える
・テレビの音量を上げる
・後ろから話しかけても振り向かない
・会議や集まりで話が聞き取れない
これらの症状は本人では気付きにくいことがあります。周囲の人がいち早く気付いてあげることが大切です。

◇聞こえにくさを感じたら耳鼻科へ
認知症になりにくくするためにも、聞こえにくさの早期発見・治療が大切です。難聴で病院に行くのは気が重いと感じる人もいるかもしれませんが、難聴は認知症のリスクが2倍になるという論文データもあるため、聞こえにくさを感じたら耳鼻科などの専門医に相談しましょう。また、最低でも年に1回は聞こえの検査をすることをおすすめします。
社会に積極的に参加することも重要です。町内会や老人会のような地域の集まりに積極的に参加することで、周囲の人も気付くきっかけになります。難聴が進行している場合、補聴器などで症状を緩和させることもできます。生活の質向上や認知症予防につなげるためにも、聞こえを大切にしましょう。

■認知症と付き合う
認知症になっても住み慣れた地域で安心して暮らし続けるために、身近に利用できるよりどころを紹介します。

Dカフェ青い鳥では二つの取り組みを行っています。気軽に参加してください。
場所:二条橋いこいの家(上青井町181番地)
参加費:1人百円

問合せ:Dカフェ青い鳥
【電話】22-3493

◇Dカフェ
認知症の人やその家族、地域住民、認知症に関心のある人など誰でも気軽に集い、交流や情報共有ができる憩いの場です。お茶やコーヒーを用意しています。
期日:毎月第2水曜(10月は8日)
時間:午前11時~午後2時

◇すずめの学校
認知症予防ゲームなどで交流します。脳が刺激される笑いあり、癒しありのゲームを通して認知症の人やその家族同士の交流が自然に深まり、頭・体・心が元気になります。
期日:毎月第4水曜(10月は22日)
時間:午前10時~正午

◇当事者の声
自らが認知症と診断を受けても、地域の集まりに参加し、すずめの学校の校長も務める魚返さんに、元気の秘訣(ひけつ)やすずめの学校の雰囲気について聞きました。

・すずめの学校校長 魚返(うおがえし) 秀喜 さん
大正6年に創業した魚返豊州堂(上青井町)の3代目として、長年屏風(びょうぶ)や表具などの製作・修繕などを手掛けてきました。奥さんのおいしい料理を食べることや、みんなで集まってワイワイすることが元気の源です。
昔から、なんでも挑戦することを大切にしているので、すずめの学校の校長を引き受けました。みんな笑顔で交流するので、けんかにもならず楽しく活動する事ができています。認知症予防ゲームは、リボン取りゲームやお手玉を使ったゲームなどさまざま。より多くの人に参加してもらえる学校になるように、これからも校長は続けていくつもりです。皆さんもぜひ、遊びに来てください!

問合せ:市高齢者支援課元気・長生き係
【電話】22-2111(内線1211)

■認知症サポーターになりませんか?
認知症サポーターとは、認知症を正しく理解し、地域で認知症の人やその家族を温かく見守り、支援する人のことです。同サポーターの養成講座はいつでも開催することができます。講座を受けたい人、講座を開催したい事業者などは、市包括支援センターにお問い合わせください。

◇養成講座の内容
講話:認知症の種類や症状、認知症の人への対応方法、認知症の予防、認知症サポーターの役割など
グループワーク:認知症への対応、どのような対応を心掛けるかなど

問合せ:市地域包括支援センター
【電話】24-9193

■脳いきいき教室
カードやパズルを使って楽しみながらできる認知症予防の教室です。認知機能の簡単なテストもあり、プログラムを受けてどれだけ認知機能が上がったのかを知ることができます。詳しくは市高齢者支援課までお問い合わせください。

問合せ:市高齢者支援課元気・長生き係
【電話】22-2111(内線1211)

■地域で見守ろう 安心・見守りネットワークシール
認知症などの高齢者などを地域全体で見守る仕組みの一つとして、高齢者見守りネットワークに登録した人やその家族にシールを配布しています。衣類や持ち物などにシールを貼ることで、いざというときに周りの気付いた人がその人の身元や連絡先を知ることができ、対応しやすくなります。
ネットワークにはいつでも加入できます。詳しくはお問い合わせください。
認知症地域支援推進員 和田 希美香 さん

問合せ:
市高齢者支援課【電話】22-2111(内線1211)
市地域高活支援センター【電話】24-9193

9月は認知症月間です。市では9月21日の「認知症の日」に合わせて、認知症支援のシンボルカラーであるオレンジ色に水の手橋をライトアップします。