くらし 私なりに見つめる玉名

地域おこし協力隊/種子島奈里

旧玉名市と3つの町が合併して20年。市全体で見ると、新しい建物の完成や小学校の統廃合などの変化がありました。
今月は「市民の皆さんは、どんな20年を過ごしてきたのか」を取材しました。変化したこと・変えなかったこと・・・それぞれが過ごした大切な日々を振り返っていただきました。

◆合併20周年/わたしたちの20年
◇2005
・新市政玉名市の誕生
10月3日、玉名市・岱明町・横島町・天水町が合併し、新市政が誕生した。

◇2009
・タマにゃん誕生

○2009
・「D-project」 代表 髙森大輔(たかもり だいすけ)さん
板金塗装からキャリアを始め、2009年にカスタムペイントショップ「D-project」を設立。塗装と造形どちらも担えるのが最大の強みで、誰もが知るテーマパークや動物園の造形など数々の実績を持っています。
本物に見えるフェイクを造ることが仕事だと話す髙森さん。昔に比べると、お客さんの目が肥えてきたと感じています。だからこそ大切にしているのはお客さんの「満足度」。観察と学びを繰り返しながら期待を超える仕上がりを追求して、大規模な造形から家具や小物のペイントまで幅広く手がけています。

◇2011
・玉名バイパス全線開通
・九州新幹線玉名駅開業

○2014
・「やっさん家」 平野靖典(ひらの やすのり)さん・美穂(みほ)さん
ゼネコン会社に勤め、新玉名駅の建設に携わったことが玉名との縁。転勤の多い会社で子育てするのは難しいと判断して退職し〝昔からやってみたかった〟飲食業に挑戦しました。料理は未経験でしたが、40歳で奮起して調理師専門学校に通い、2014年夫婦で店を開きました。
片道2時間かけて、地元天草から仕入れる新鮮な魚を使った料理は、開店以来変わらぬ人気です。アルバイトを雇わず夫婦二人三脚で営業を続け「納得したものを妥協せず提供する」姿勢を守ってきました。
コロナ禍では存続の危機も経験しましたが「できること」にひたむきに取り組み、今も変わらず暖かな店を営んでいます。「店名の〝家〟のように落ち着ける場所でありたい」と語っていました。

◇2015
・旧庁舎に別れを告げ新庁舎(岩崎163)に移転

◇2016
・熊本地震発生(玉名市で最大震度6弱を観測)

◇2017
・菊池川流域日本遺産認定

○2017
・「蘇鉄園芸」 取締役 蘇鉄恵子(そてつ けいこ)さん
トマトを栽培する「蘇鉄園芸」は、2017年にUターンした恵子さんが加わってパワーアップ。
需要を待つ「作る農家」から「売る農家」へと意識を変え、マルシェへの出店など新たな挑戦を続けながら2年前にホームページを刷新してリブランディングを実施しました。
現在は、加工品販売の強化やPRにも力を入れています。「常に変化する消費者のニーズに応じて届け方を工夫し、蘇鉄園芸のファンを増やしたい」と話していました。

◇2018
・玉陵小・中学校開校
6つの小学校(玉名・石貫・梅林・小田・三ツ川・月瀬)が統合し、玉陵小学校開校。
・天水支所を「天水市民センター」と改称し、新施設での運用を開始

◇2019
・NHK大河ドラマ「いだてん」放送

◇2020
・小天東小閉校
新型コロナウイルスが国内でも流行
・玉名市民会館ホール棟新設オープン

◇2021
・玉名中央病院と玉名地域保健医療センターが統合し「くまもと県北病院」開院
・玉名消防署と有明広域行政事務組合消防本部が新庁舎へ移転し、併用開始

◇2022
・岱明防災コミュニティセンター開館
・大豊小学校開校
大浜小学校と豊水小学校が旧大浜小学校の場所で開校。

○2023
・「焼肉牛寅」 店長 緒方隆太(おがた りゅうた)さん
熊本県立農業大学校を卒業後、トマト農家として働いていましたが、2023年に転身。焼肉店「牛寅」で仕事を始め、わずか2か月で店長に抜擢されました。接客を通じて多くのお客さんと会話することで人見知りの性格も「自然と知らない人と話せるようになった」と変化を実感。日々広がる〝人脈の輪〟が、やりがいと自信に繋がっています。
SNSや口コミで情報が広がる時代。目指すのは「お客さんに選ばれるお店」です。若い世代の来店にも期待を寄せ〝自分にしか出せない色〟を探りながら、毎日コツコツと仕事に向き合っています。

・大下剛紀(おおした こうき)さん・山田大平(やまだ たいへい)さん
釣り竿を手に集まるのは、設備業や海運業など多彩な業種の仲間たち。1年ほど前にグループを作って定期的に集っています。
趣味の釣りが共通点ですが「ただの遊びにとどまらせない」のが特徴。船の上で長い時間を一緒に過ごすからこそ取れるコミュニケーションがあり、自分の仕事だけでは得られない知見やネットワークを築く場になっているそうです。
ターゲットは太刀魚やタイなど、手応えのある魚たち。自然の中で集中する時間は、リフレッシュだけでなく趣味と実益を兼ね備えた、特別な休日の過ごし方です。

○2024
・「ESS wrestling club」 木村さんご家族
八嘉の木村家は「ESSレスリングクラブ」を立ち上げました。長男・天優さん(中2)は九州3位、次男・天星さん(小3)は全国大会で日本一、長女・天音さん(小1)も九州1位と、それぞれが輝かしい成果を収めています。仲の良い親子も、レスリングの時間は選手と監督・コーチ。チームとなって目標に猪突猛進する姿はアスリートそのものです。
「夢努必近(努力すれば夢は近づく)」という信念のもと、三人の目標は、そろって「オリンピックの金メダル」。
父(監督) 光宏(みつひろ)さん
母(コーチ) 知美(ともみ)さん
長男(中2) 天優(てんゆう)さん
次男(小3) 天星(たかほし)さん
長女(小1) 天音(あまね)さん

◇2025
・玉名市合併20周年

○2025
・「伊倉仁〇加(にわか)」 浦谷幸司(うらたに こうし)さん
伝統芸能「伊倉仁〇加」は、男性のみで演じられ最後に必ずオチをつけるのが特色です。かつては祭りの舞台で夜通し披露され、台本なしに時事や風習を盛り込み観客を笑わせてきました。しかし、コロナ禍で活動は途絶え「伊倉仁〇加はなくなったのか」と心配の声も。今年の伊倉夏祭りで約7年ぶりに舞台復活を果たし、即興的な掛け合いに会場は笑いに包まれました。
方言の継承やコンプライアンスへの配慮など難しさもありますが「形は変わっても笑いの伝統を守りたい」という思いは変わりません。