- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県宇土市
- 広報紙名 : 広報うと 令和7年1月号
■自分の「特権」に気づこう~差別をなくしていくために~
◇マジョリティ(社会的多数者)とマイノリティ(社会的少数者)
マジョリティ(社会的多数者)とは、数の多さだけではなく、社会や人間関係の中でより多くのパワー(権力)をもっている側のことを指します。
マイノリティ(社会的少数者)は、社会や人間関係の中で、よりパワー(権力)が少ない側のことを指します。
(例)以下は一例です。
◇自分にとっては当たり前のことかもしれないけれど…
「特権」とは、マジョリティ(社会的多数者)の側にいることで、苦労することなく受けられる恩恵のことです。
・階段しかない建物や、点字ブロックがない歩道でも移動に困らない。
・音や音楽が鳴らない信号機でも横断歩道を渡ることができる。
・好きになる相手の性は自分と異なる性で、異性と結婚できる。
・生まれ育った所を理由に結婚を断られたり、差別を受けたりしない。
こういったことがマジョリティ(社会的多数者)の「特権」と言われても、普段意識することなく生活しているため、ピンとこないかもしれません。しかし、マイノリティ(社会的少数者)の側にいる人からは、その「特権」がはっきりと見えています。
例えば、異性間での結婚は、日本の結婚制度が利用できますが、現時点では同性間の結婚では利用することができません。難なく結婚制度を利用できる「特権」をマジョリティ(社会的多数者)は持っています。また、人種・民族的マイノリティ(社会的少数者)の人は、ヘイトスピーチなどの差別・偏見にさらされることがありますが、国内で暮らす日本人はマジョリティ(社会的多数者)であるがゆえ、人種差別を受けない「特権」を持っていると考えることができます。
当たり前に制度を利用できることや、人種や性別、生まれた所など、自分では変えようのないことで差別されることなく生活できるということは、精神的なダメージや恐怖、自信の喪失、差別に抗議するためにエネルギーを消耗するといった苦労をせずに生きられる「特権」をもっているのです。
◇自分の「特権」に気づく大切さ
こういった「特権」は、法律や制度、文化的背景や慣習といった、社会の仕組みの中に存在しています。日常生活に溶け込んでいる様々な「特権」にマジョリティ(社会的多数者)が気づかずにいることが、マイノリティ(社会的少数者)にとって生きにくい社会を生み出しているのではないでしょうか。
マジョリティ(社会的多数者)の側にいる人は、自分が持つ「特権」を意識してみましょう。そうすることで、差別や排除を受けている人の存在が見えてきます。また、「特権」から生じる差別の問題を「自分ごと」として考えることができるようにもなります。
私たち一人ひとりが、こういった意識の変化を起こすことが、差別をなくし、誰もが生きやすい社会を実現するための第一歩だと思います。
参考資料:「マジョリティの特権を可視化する~差別を自分ごととしてとらえるために~」出口真紀子(東京人権啓発企業連絡会)
問合せ:生涯活動推進課 生涯学習係
【電話】22-6510