くらし 元樹(げんき)だより 市長からのメッセージ

近年、少子高齢化や人口減少、家族形態の変化、相続問題など様々な要因が重なり、全国各地で空き家の増加が社会問題となっています。本市でも例外ではありません。かつて家族の笑顔に包まれていたその場所が、今では「空き家」となり、明かりが灯ることなく静かに取り残されている光景を目にする機会が増えています。管理されなくなった空き家は、倒壊の危険や景観の悪化など、地域の課題となる一方で、再活用することで地域コミュニティの活性化につながる「新たな可能性」として期待されています。
その可能性を広げる取り組みの一つが「空き家バンク」(※1)です。空き家バンクは、空き家を売りたい、貸したいと思う所有者から登録していただいた情報を、市のホームページを通して公開する制度で、空き家等の所有者と住まいなどを探している方々を結ぶ取り組みです。
登録物件の売買や賃貸が成立した場合、補助金(※2)が受けられるなどのメリットがあり、市外からの移住を検討している方だけでなく、定住を目的に地元で新たな生活をスタートさせたい方にもおすすめの制度です。市では、昨年度から専門部署を新設するなど、制度の更なる推進を図っています。その結果、登録件数は徐々に増加し、制度強化前と比較すると関連サイトの閲覧数が約50倍に達するほど、注目を集めるまでになっています。
しかし、まだまだ空き家バンクへの登録件数は十分とはいえません。その背景には、空き家の所有者が「手続きが面倒」「家財が残ったままでも登録できるのか」といった懸念を抱かれていることがあるようです。そこで市では、専任のスタッフが所有者を丁寧にサポートする体制を整えています。
空き家は、かつて地域の人々が生活し、思い出を紡いできた大切な場所です。その場所を次の世代へと引継ぎ、新たな価値を創造していくことが、空き家バンクに秘められた大きな可能性であると考えています。また、空き家バンクへの登録は、所有者にとって管理の負担軽減や資産活用のチャンスにもなり得ます。空き家をお持ちの皆さんには、ぜひこの機会に空き家バンクへの登録をご検討いただきたいと思います。
※1,2についての詳細は、市ホームページをご覧ください。
元松茂樹