- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県宇土市
- 広報紙名 : 広報うと 令和7年9月号
8月10日の深夜から11日早朝にかけて県内各地を襲った記録的豪雨。
本市におきましても、家屋や車、農地等への浸水被害が確認されております。河川の氾濫や土砂災害など甚大な被害に見舞われた近隣自治体では、尊い命も奪われました。お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族や被災された全ての皆様に心よりお見舞い申し上げます。
今回の豪雨では、気象庁から近隣自治体に大雨特別警報が発表されました。
「特別警報」は、「これまでに経験したことのないような災害が迫っている」ことを知らせ、最大級の警戒を呼びかけるものです。大雨特別警報が発表された地域での被害の大きさを目の当たりにし、この言葉が持つ重みや深刻さを強く実感された方も多いのではないでしょうか。
そこで、市民の皆様に改めて認識していただきたいことがあります。それは、「災害時に、ある心の働きが避難を遅らせ、命をも危険にさらしてしまうことがある」ということです。
例えば、大雨や大型台風の接近が報じられた際、「前回も大丈夫だったから、今回もきっと大丈夫」「自分の身に限って、大変なことは起こらない」と感じてしまうことはありませんか。これは「正常性バイアス」という心理現象で、危険が迫っていても「大したことはない」との意識が働き判断を鈍らせ、避難行動の妨げになります。
また、「誰も逃げていないから」「みんなと一緒だから大丈夫」と、周囲の様子をうかがい行動をためらう「同調性バイアス」も避難の遅れにつながります。こうした心の働きが命に関わる危険を招くということを意識していただき、早めの避難や身を守る行動につなげていただきたいと思います。
9月は防災月間です。私たちが暮らす日本は、地震や台風など、さまざまな災害のリスクと常に隣り合わせにあります。市としましては、これまでの経験や教訓をもとに、早めの避難誘導をはじめ、さらなる災害対応力の強化に努めてまいります。この防災月間が、皆さまにとりましてご自身やご家族の防災対策を今一度振り返り、日頃からできる備えについて考えていただくきっかけとなれば幸いです。
元松 茂樹