くらし くらしと人権 Vol.67 身近な差別問題を考える

■1 いくつかの事例から
新聞報道やニュースなどを見ていると、「えっ!」と思うような出来事や事案に出あうことが多々あります。今年の3月には、宇城市が作製して全家庭に配付した総合カレンダー2月のページに「ハンセン病・水俣病などの感染症を正しく知っていますか」という表記があることが分かりました。5人の職員で3回のチェックを実施したそうですが、見逃してしまったと謝罪がありました。
また、家庭教師のトライグループが運営しているオンライン教材(中学歴史)において、「4大公害病」の解説の中に「水俣病は遺伝する」という誤った表現が掲載されていました。関係団体からの指摘を受けて、削除や謝罪を行ったようです。
熊本県民としては、その認識の在り方に驚くばかりですが、ただ単に批判するだけでなく、顧みて自分自身の知識や認識はどうなのかと、まず足元を見直すことが肝要なのかもしれないと思いました。どんなに大きな出来事でも時間の経過とともに記憶が薄れていき、風化してしまうことが起こります。だからといって、知識が曖昧でも良い、底の浅い認識のままでよいという訳ではありません。
今回のような事案が起きた時、「対岸の火事」ではなく「他山の石」にすることが肝要なのだと思います。

■2 行政の一員として
このコラムを書きながら、昨年の出来事を思い出しました。当時の伊藤環境大臣と水俣病患者団体との懇談会の場において、ある団体の代表がまだ話をされている途中で時間オーバーを理由に、職員がマイクのスイッチを切ったというものです。同じ行政に籍を置く一員として、自分だったらどうしただろうかと考えてしまいました。スイッチを切ることなく、話が終了するまで待つことができただろうか、と自問自答しています。答えは自分自身の今後の在り方で示すしかないのだと思っています。

問合せ:社会教育課 地域人権教育指導員
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