- 発行日 :
- 自治体名 : 熊本県球磨村
- 広報紙名 : 広報くまむら 2025年5月号
令和7年3月議会で、松谷村長が述べた施政方針を掲載します。
※広報くまむら掲載用に表現を変更しています。
◆はじめに
令和2年7月豪雨災害から、ことしで5年を迎えます。発災からこれまで、多くの方々のご協力、ご支援をいただきながら、復旧・復興に向けて全力で取り組んできました。
最優先課題としていた被災された方の生活再建では、令和5年に渡地区や一勝地地区の災害公営住宅を整備し、ことし2月には、神瀬地区小規模改良住宅の入居を開始しました。また、山口居住エリアの塚ノ丸団地では、令和6年5月に1期分の宅地の引き渡しが始まり、住宅の再建が進んでいます。また、令和6年12月には、2期分の造成工事が竣工し、随時土地の引き渡しが始まっています。
宅地かさ上げ事業については、中園地区や多武除地区が令和6年度完成し、残りの区域においても、国・県と連携し、早期完成に向け進めているところです。また、遊水地事業においても、近隣住民へ配慮を行いながら、国との連携を密にして進めていきます。さらに、球磨川に架かる流失した橋梁については、3月16日に沖鶴橋の完成式典を行い、その他の橋梁についても国・県と連携し、早期完成を目指し進めていきます。
一方で、仮設住宅などでの不自由な暮らしを余儀なくされている方もまだいらっしゃいます。令和7年度末までには生活再建を果たされることと見込んでいますが、最後の一人まで被災者に寄り添った支援を行っていきます。
こうした状況の中、村の人口は、災害前の3,510人に対し、3月1日現在では2,628人となり、5年間で約25パーセント減少したことになります。加えて高齢化率についても、人口と同時期の比較をすると約45パーセントから51パーセントまで上昇し、村の情勢は一層厳しさを増しており、担い手不足による産業の停滞、地域活力の低下など、平時における課題も山積しています。
最大の課題である「人口減少と少子高齢化」に対応するため、子育て支援施策の充実や産業の振興等を引き続き進めるとともに、交流人口、ひいては移住人口の拡大につながる実効性のある取り組みが必要となります。今後の村の地域振興をけん引していくのは観光振興による取り組みであると考えています。復旧・復興のステップアップに伴い、村民の生活再建と並行し、地域の賑わい創出に向けて本格的に観光振興に取り組んでいきます。
他方、世界情勢などに起因する様々な物価高騰や、経済対策への迅速な対応も引き続き求められていることから、国・県の動向などを注視しながら支援を講じることが必要です。復興そしてその先の発展を成し遂げるためには、将来を見据えた大胆な投資を行うことも必要と考えます。一方で多額の事業費が伴う施策もあることから、メリハリのある予算編成を行いつつ、中長期財政見通しとも照らし合わせながら、計画的な財政運営が必要と考えています。
令和7年度予算につきましては、地方交付税の交付額が不透明な中、厳しい予算編成となっていますが、先延ばしができない復旧・復興関連事業や人口減少・少子高齢化対策事業については、各種基金を適切に活用するとともに、投資的事業については、地方交付税率が有利な過疎債や辺地債といった地方債を活用し、着実に進めていきます。
令和7年度の予算編成については、球磨村総合計画後期基本計画に掲げる基本目標に基づき、必要な事業のうち優先順位の高いものから編成を行いました。