- 発行日 :
- 自治体名 : 大分県竹田市
- 広報紙名 : 広報たけた 2025年3月 NO.240
■エビネ(ラン科)
阿孫 久見
低地(ていち)から丘陵地(きゅうりょうち)の林内(りんない)に生育(せいいく)する高さ20~40センチの多年草(たねんそう)です。生(は)えている場所(ばしょ)は半陰地(はんいんち)で、ある程度(ていど)湿気(しっけ)を保(たも)った柔(やわ)らかい土壌(どじょう)を好(この)みます。互生(ごせい)の葉は根生葉(こんせいよう)で、表(おもて)は濃緑(のうりょく)で裏面(りめん)は緑白色(りょくはくしょく)です。長さは30センチ、幅(はば)は11センチほどで主脈(しゅみゃく)の左右(さゆう)にシワのある平行脈(へいこうみゃく)が数十本(すうじゅうほん)あります。葉柄(ようへい)は15センチもあり、翼状(よくじょう)になりU字(じ)状(じょう)になって深(ふか)く茎(くき)を抱(だ)きます。
春の頃(ころ)、葉の中心(ちゅうしん)から茎を立て、径(け)い2.5センチほどの白と茶褐色(ちゃかっしょく)のラン特有(とくゆう)の形をした総状(そうじょう)の花を咲(さ)かせます。花は、がく片(へん)と側花弁(そうかべん)が褐色(かっしょく)で下の唇弁(しんべん)が深く3裂(れつ)する白から淡紅色(たんこうしょく)です。花は個体(こたい)により色に変異(へんい)があります。
和名の由来(ゆらい)は地中(ちちゅう)に球状(きゅうじょう)の偽鱗茎(ぎりんけい)があり、これが横(よこ)に連(つら)なっている形をエビに見立(みた)て海老根(エビネ)の名があります。
竹田では里山のスギ林(ばやし)や竹林(ちくりん)など土の肥(こ)えた場所で観察(かんさつ)されましたが、一頃(ひところ)のエビネブームで根こそぎ乱獲(らんかく)され個体は激減(げきげん)しました。大分県の絶滅危惧種(せつめつきぐしゅ)。花期(かき)は4月から5月です。