健康 竹田医師会病院 健康だより 第26回

■高血圧について
高血圧は肥満、脂質異常症、糖尿病などの慢性疾患に合併することが多く、血圧の上昇は脳・心臓・大血管・腎臓病の発生に深く関与します。降圧療法の目的は、これら主要臓器の障害を防ぐことといえます。我が国の高血圧患者数は、約4,300万人(約3人に1人)と推定されていますが、適切に血圧管理がなされているのは約1,200万人といわれています。
高血圧は、本態性と二次性に分類されます。高血圧の約90パーセントが本態性であり、遺伝・食塩過剰摂取・自律神経など複数の原因が絡み合って発症する高血圧です。後者は、原因が特定されるものであり、腎実質性・内分泌性・腎血管性・薬剤性があります。高血圧の症状として、頭痛・頭重感などがいわれますが、それらは一般に不眠・過労を介して生じており、高血圧自体は多くの場合無症状で、高血圧がサイレントキラーと呼ばれる所以です。
2019年高血圧ガイドラインによれば、上の血圧が140mmHg以上の場合、または下の血圧が90mmHg以上の場合、あるいはこれらの両方を満たす場合に高血圧と診断されます。高血圧は全身の臓器・血管に影響を及ぼすことから、医療機関では一般的に血圧測定だけでなく、血液検査・尿検査・心電図・胸部X線検査などが実施されます。さらに、必要に応じて眼底検査・超音波検査などが追加されます。
本態性高血圧の治療は、生活習慣の是正と薬物療法です。一般的に減塩(6グラム未満)、体重の適正化、適度の運動、飲酒制限、禁煙を一定期間実施します。その後、目標血圧に到達しない場合に降圧薬を開始します。医師が高リスクと判断した場合は、直ちに薬物療法を行います。二次性高血圧の場合、原因となる疾患に応じた治療が選択されます。
将来の臓器障害を予防するために、血圧管理は重要です。健診で血圧上昇を指摘された場合は、迷わず近隣の医療機関を受診されることをお勧めします。

問合せ:竹田医師会病院循環器内科 原
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