- 発行日 :
- 自治体名 : 宮崎県都城市
- 広報紙名 : 広報都城 令和7年7月号
■馬渡(まわたり)遺跡出土の石銙(せっか)(南横市町)
石銙は、古代の官人が身に着けていた帯に取り付ける石の飾りです。馬渡遺跡の発掘調査で出土した石銙は、淡い緑色の石材を加工したもので、半円形の「丸鞆(まるとも)」と呼ばれる形状をしています。表面は丁寧に研磨され光沢があり、裏面には帯に取り付けるための潜り穴が空けられています。
平安時代中期に編さんされた「延喜(えんぎ)式」によると、石銙の素材や色は身分による制限があり、六位以下の官人は黒色の帯飾りしか許されず、白玉やメノウなどの高級素材は三位以上の高位貴族に限られていたとされています。しかし、当時の都である平安京跡からは、緑色系や白色の石銙が多く出土していて、実際には制度上の規定との間に差があったことが明らかになっています。これらの状況は、服飾制度の規範が時代とともに形骸化したことを示しているという見方があり、本資料はこのような時代に伴う変化の一端を示す貴重な資料です。
※本資料は、都城歴史資料館常設展で展示中
問い合わせ:文化財課
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