文化 (歴史探訪)坪谷の名士が残した旧矢野力治氏庭園(仮称)

◆坪谷の名士が残した旧矢野力治氏庭園(きゅうやのりきじていえん)(仮称)
文化財には、国宝、重要文化財、指定文化財等多くの種別があり、価値が高いと認められるもの、保存や活用が特に必要とされるものがこれらに指定、登録されます。日向市教育委員会では、登録・指定文化財の保存・活用はもちろん、これらに当てはまらない、未指定文化財の調査も進めています。
東郷町坪谷の旧矢野力治氏庭園(仮称)は、明治から昭和期にかけて東臼杵郡会議員、県会議員、国会議員を努め、東郷町の土木、電気事業、水資源開発等の発展に尽力した矢野力治氏の庭園です。坪谷川の上流域に位置し、背後に坪谷城を控える面積約1300平方メートルの庭園で、池泉回遊式と呼ばれる様式が採用されています。熊本の水前寺成趣園の作庭師の弟子である上野丹月によって造られたとされており、庭石の収集に3年、作庭に5年を要したと伝わっています。
庭園内は段差のある2つの池を中心に、築山と呼ばれる鑑賞用の山や景石(鑑賞用の庭石)、灯籠、樹木などが所々に配置され、飛石の上を歩いて庭園を鑑賞したり、涼をとったりできる造りになっています。滝口や水路を跨ぐ石橋の他、今は失われている木橋の痕跡を見ることができます。
これまでの調査では、庭園の持つ本来の姿を確認するために、積もった枯れ葉や土を除去し、構成要素の把握や配置の確認、実測図の作成、写真撮影等に当たりました。今後より詳細な調査・活用方法を模索していきます。
市教育委員会では、今後も未指定文化財の調査を積極的に進めていきます。情報提供などのご協力をよろしくお願いします。
※紹介した庭園は私有地です。無断での見学はご遠慮ください。

問い合わせ:教育総務課文化財係
【電話】66・1036